第70回 この時代の閉塞感を打ち破る起業家を、誰もが切望していることと思う。 しかし組織の中で、なにかを審査するとなると、まず減点法=ネガティブチェック的な考え方になりがちだ。また役所などではとくに、せっかくの制度も、とかく形式的・文言的な運用に陥りやすい。 どうしてネガティブチェックに終始することになり、なぜ実質的な判断を回避して、形式的・文言的な運用になってしまうのか。 いずれも根が共通で、それぞれの役割をになう個人こじんの責任の自覚に行きあたるように思う。つまり肯定的・実質的に判断すれば、そこに責任が生じてしまう。書いてあるとおりにやっている限りは、だれも責任を問わない。 「責任」という言葉は、いつも「非常にいやなもの」というニュアンスで語られる。できるだけ避けたいもの、ない方がいいもの。つまり病気やケガ、災害と同じようなものというとらえ方だと思う。 私たちは幼年時代から、学校教育を通じて「主体的に判断し、行動しなさい。そして結果に責任をとりなさい」と教えられたことがない。どちらかというと「言われたとおりにしなさい。このとおりやりなさい」という教育方法であった。 私たちの社会では、エンジェルもいなければ、失敗した起業家の再出発を可能にする環境もない。 |
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