第50回
ブランドケーエイ学17: トイレ再考。
先日、環境保全の観点から「すわりション」について書いた。
わが社が、全国に先がけて「オトコもすわりション」運動を展開する会社になれるのだと思うと、じつに誇らしい。全国でいちばんになれる要素が、いったい自分の会社にいくつあるだろうか?
さて、さっそく読者の方から、この件についてメールを頂戴した。
あるトイレでは、便器にハエの絵が描いてあり、これを狙ってしまう男性の心理を巧みについて、汚れを減らしたという。調べてみると、これはオランダのスキポール空港のようだ。
みんながトイレを汚すからマナーを訴えよう、と考えていたわけだが、マナー以前で解決できれば、より抜本的だ。まさに、それこそがデザイン!
指摘されて悔しいから言うわけじゃないが、じつは前回のコラムを書いたとき、標的のアイディアは、わが社でも話題になっていたのであります。
樟脳のボールがあるとそれを狙う心理があるから、そういうもので解決できるのではとの話がでてきて、射的の的みたいな同心円状のものをイメージしつつ、標的を描いておけばいいじゃないかと。でも標的では飛沫がおきざりになる。
じつは、これに似たような話をくっつけようとおもって、ネタをとっておいたのですが、それはトイレのブラシ。
非常にカッコよくデザインされたトイレブラシがあって、ニューヨーク近代美術館に永久展示品となっているものがある。あれ、ちがったかな?
単にグッドデザイン賞を得たくらいだったかもしれない。とにかく、そういう「優れたデザイン」のトイレブラシがあるとして聞いてもらいたい。
で、言いたいのは、もしわが社に「これに負けない、かっこいいトイレブラシをデザインしてくれ」という依頼があったらどうするか?
どんなにカッコいい形状のトイレブラシをつくっても、ことの後にブラシを使わなきゃなんないときの、あの情けない気持ちはどうだろうか?
デザイナーは、より根本的に、トイレブラシを使わなくても済むような便器のあり方を考えるべきだナと、そのトイレブラシを見ながら考えたのであります。
クライアントが違ってしまうけど。
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