第49回 クロサワ、浮世絵、田中さん。いずれも外国で評価されたものばかり。日本人には評価能力がないとよく言われるが、さてどうだろう。 スイスイ社の事業は、妻のイラストを売ることからはじめたわけだが、ぼくなりに戦略はたてていた。イラストは、イメージ商品の典型例みたいなものだ。 といっても外国にでかける度胸もなかったから、まず東京で売ろうと考えた。 わが社のイラストは、93年ころからコンピュータで直接描いており、その表現はかなり独特のものだった。しかし画家は誰でもそうだが、タッチの面でもモチーフの面でも表現に幅があり、いろいろな絵が描けるものだ。ぼくらは、タッチをそろえて一連の絵を見せたつもりだったが、モチーフにおいてはシャープなものから、ややホンワカしたものまでバリエーションがあった。 彼いわく、「東京だと、個性をとがらせて、私はこのタイプの絵しか描きません、ということで勝負できる。しかし地方の人は、どんな仕事にも応じられるように、いろんなタイプの絵を描くようになり、その結果個性が見えなくなる」という。悔しい評価だったけれど、一理あった。 いまは、他人の絵を評価する立場になったりもするが、同じことを思うことがある。 |
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