第9回
カネ・カネ・カネのケーエイ学2: 源泉税、ヤな制度。
わが社では、コピーライター、イラストレーター、写真家などの
クリエーターと仕事をすることが多い。
彼らが会社法人である場合は、源泉の問題は生じないが、
個人でやっている場合は、報酬に対して10%の源泉税がかかる。
この源泉税は「預かり」といい、報酬を支払う方が差っ引いて、
あとから税務署に申告して支払うことになっている。
これはおかしな制度で、報酬を支払う方としては、
税金支払いの代行事務を無料でやらされているのである。
この源泉税の扱いはなかなか厳しく、ちょっとでも期日に遅れると、
たちまち税務署から加算税の請求がくる。
期限を数日遅れただけで、5%の加算税がつく。
支払わないうちは請求がこないのに、支払ったとたんに
加算税を請求してくるのだから、われわれの気持ちを逆なでする。
わが社の支払日は20日であるが、源泉税の支払期限はたいがい10日だ。
おかげで他人の税金を支払うために、通常の支払日とは別に、
わざわざ銀行にいかなければならない。
源泉税とは、そもそもが所得税であって、
所得のあった者(つまり受け取り側)が支払う性質のものである。
従業員の給料に関して、会社がまとめて税金を払うのは、
まあ合理的な部分もあるかもしれないが、
他人様の所得税まで、なぜ事務負担しなくてはならないのか?
ところが、この源泉税、支払う側が報酬から差っ引くカタチであるために、
受け取る側にすれば、仕事の報酬を値切られたような気分がするものだ。
つまり報酬10万円と決めていても、実際には9万円しか支払われない。
そこで手取りで10万円を確保したいと考えて、
源泉税を上乗せして支払ってくれという人がでてくる。
いわゆるナラビというやつで、
たとえば11万1,111円という数字になるわけだ。
事務負担させられるだけでもイヤな制度であるのに、
ナラビで要求するとは、テメーの所得税まで
支払い側に負担しろというものである。
いったい何様のつもりか、と考えるのである。
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