第44回
月次の必要性
会社の見通しといえば、
売上の推移がすぐ頭に思い浮かぶのではないだろうか。
もちろんこれを中心として、
資金繰り、設備投資、人員配置などの経営戦略を練るのだが、
会計処理が1年分まとめてになると
戦略云々以前の話になってしまうため、
無駄な借入れが必要になったり、
余計な税金を支払ったりすることが起きてしまう。
例えば、法人税は、前年度の納税額が20万超であれば、
その半分を8ヶ月目に納めなければならないが、
6ヶ月を一会計期間とした仮決算を組んで税額を決めてもいい。
また消費税も、前年度の納税額が400万超であれば、
その4分の1を5ヶ月目、8ヶ月目、11ヶ月目に、
48万超400万以下であれば、
その2分の1を8ヶ月目に納めなければならないが、
3ヶ月または6ヶ月を一会計期間とした
仮決算を組んでもいい。
つまり、前期と比して経営状態が著しく悪化したよう場合には、
仮決算を組んで納税額を決めた方が、
資金的にはかなり楽になるハズである。
また、法人税は前年度の半分を、消費税は仮決算でという具合に、
有利なほうを選択してもいいことになっているので、
ここにも選択の余地がある。
また、恒常的に利益が出る体質の会社であれば、
むしろ税務調査の少ない白色申告でいいと思うのだが、
そんな会社でも、損益構造に変化があって、
将来的には赤字が見込まれるような場合には、
青色で申告する年度の前事業年度の末日までに
税務署にその旨、届出書を提出する必要がある。
青色申告には、
赤字が生じた場合、それ以降5年間の黒字と相殺できるという
「欠損金の繰越控除」という特典があるため、
これが受けられるのと受けられないのとでは、
納税額に差が出てくるのだ。
このように、単に会社の見通しといっても、
そこから戦略練るためには、
やはり、毎月の月次資料が大切なのだ。
また、各種選択についての届出のタイミングは
事業年度末までということが多いため、
1年間ずっと会計を見ないでいると、
せっかくの特典やお得な選択肢を放棄してしまうことになるため、
会社にとっては大きな損失となって、
ボクらの存在意義もなくなってしまうのだ。
また明日。
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