税理士・濱田善行さんの
「こんなんありだ税っ!」

第43回
よろず相談所

会社によっては、
会計事務所に毎月顧問料を支払っているにもかかわらず、
申告月になってようやく1年分の資料を送ってくるところがある。
もちろん社長ひとりだけで経理まで手がまわらないとか、
奥さんに任せているんだけど全然やらなくてとか、
1年分まとめて処理したほうが効率的だとか、
それぞれにいろんな理由があるのだが、
ボクらとしては、申告月にドカッと資料を持ってこられたのでは
100%のサービスが提供できないことも多い。
また、こういう会社の社長は、
時折、税額を少なくしようと
強引なねじ込みを見せたりするので困ってしまう。

もちろんこういうことがきちんとできるように指導することも、
会計事務所の仕事の範疇ともいえるのだが、
ボクとしては、
あくまでも1年分まとめて処理することのリスクを説明した上で、
納税意識、経営者意識を持ってもらうことに力を注ぎたい。
なぜなら、会計事務所との付き合いが申告だけという間は、
会社が成長していない証拠だし、
ボクらの仕事もいつまでも“事務屋”のままになってしまうからだ。

会社にしても、最近では単に入力するだけなら、
それこそ月額5000円とか、1仕訳いくらとかいう単位で
請け負ってくれる計算センターみたいなところもあるし、
申告だってプラス数万円も支払えばやってくれるから、
それだけのニーズしかないのであれば
むしろそちらに頼んだほうが安上がりだ。
ただ、税務署が来ても力になってもらえないし、
相談しようにもいちいちお金がかかるため、
中長期的な視点での経営相談はできない
というようなことも聞いたことがある。

顧問料というのは、
経理、申告のみならず、営業、労務、資金調達、業務改善など、
経営全般についての相談業務も含まれての値段なのだから、
それをもっと活用しない手はない。
そんなよろず相談所的な位置付けで考えてもらえば、
もっといい関係が作れると思うのだ。

また明日。


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