第27回
社員旅行の税務調査
社員旅行が基準を満たしていなかったり、
不参加者に金銭を支給していたりした場合に、
所得税が課されることは既にお伝えしました。
このほか、よくある事例としては、
福利厚生費で処理した社員旅行の中に、
得意先の社長さんの分が含まれていたり、
チリ人妻が同行していたりしたような場合です。
前者であれば、交際費として課税されますし、
後者であれば、役員賞与として課税されることになります。
役員賞与は、従業員の賞与とは異なり、
会社の経費としては認められないため、
所得税と法人税とのダブルで課税されてしまいます。
以前ボクが担当した会社で、
年に3回の社員旅行が計上されていたことがあって、
調査の時にその点が指摘されました。
先ずは、
旅行日程表の提出を求められ、
それがないというと、
宿泊の領収書から、
社員の人数と参加人数とが大きく異なることを把握した上で、
不参加の人は誰だったのか?
その時のタイムカードを見せてくれ、
などと相当しつこく食い下がって、
結局、家族旅行が1回まざっていたことが判明し、
その旅費の全額が役員賞与として課税されました。
自分が使ったものを会社経費で落とすことを覚えた
小さな会社の場合、
自分の財布と会社の財布とがきっちり分けられていないため、
こういうことが起こりがちなのです。
調査の目的が「適正納税の推進」であるにせよ、
調査官は、
「追加でいくら税金を取れたか」
ということで評価されるわけですから、
ひとつのポイントで、
所得税と交際費と法人税で課税できる社員旅行は
狙い目といえば狙い目なのかもしれません。
いずれにせよ、
こちらのミスではなく、
会社の独善的な経理で追加納税なんてコトになると、
ボクらはめげてしまうのです。
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