税理士・濱田善行さんの
「こんなんありだ税っ!」

第12回
やっぱりゲンナマ一番!

ある資産家がなくなり、
遺言が残されていることがわかったのですが、
その中に、
ひとりの従業員さんにだけマンションをあげる、
と書かれていました。
困ってしまったのはこの従業員さんです。

マンションをもらったって、
相続税は現金で納めなければなりません。
遺言者自身が住んでいらしたマンションですから、
今のご時世いくら時価が下がっているとはいえ、
それなりの価額で評価され
2000万円もの相続税を納めなければならなくなりました。
普通の会社のサラリーマンが、
すぐに払える金額ではありません。
自分が既に住んでいる家もあるわけですから、
マンションは要らないということで、
売却して現金化するということできない選択ではありませんが、
せっかく遺言で残していただいたものを
すぐ売却するなんて申し訳ない、
ということで、
最終的には、銀行から借入を起こして
この相続税を納めました。
お金を借りたって、
マンションを貸してその収入で返せばいいじゃないか、
といわれても、
すぐ借り手ががつくわけでもありませんし、
そのためにはリフォームもしなくてはなりませんし、
そのためにはまた借入を起こさなければなりませんし、
何しろ、長年、なんの気兼ねなく
お気楽にサラリーマンとしてきた従業員さんにとっては、
そりゃもう大変な騒ぎになってしまったのです。

つまり、何がいいたいのかというと、
遺言を残す場合には、きちんと税額を試算して、
それが納められないような人ならば、
納税資金としての現金も併せて分配してあげる
と、いうような配慮が必要だということです。
なんでもひとりよがりはダメ!
せっかく残してあげても、
それが喜ばれなければ意味がありません。
と、いうわけで、
やっぱりゲンナマ一番!

また来週!


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