第2回
相続税を物で納めることを『物納』といいます
物納は原則、
現金で納めることができない納税者に限って認められた制度です。
また、一口に物納といっても、
何でもかんでもが許されるというわけではなく、
国債・地方債、土地・建物、社債・株式、書画・骨とう品のような
換金容易な財産に限られています。
そして、
納税者の申請によって国に収納を許可された物納財産は、
通常入札によって売却され、
現金が国庫に納められることになります。
ここに、
真紀子氏が利用した相続税法の盲点があったのです。
その盲点とは、
物納財産の売却時期や売却価額について法的強制力がないことです。
なぜなら、
入札による売却が前提とされている以上、
その売却時期や売却価額を予定することができないからです。
よって、
現金で1億円納税した人は1億円を納めたことになりますが、
1億円と評価された財産を物納した人は、
その入札価額次第では、
納める金額が1億円に満たないことも起こりうるわけです。
バブル以前のように経済が右肩上がりだったときは、
時が経つほどに物の値段は上がりましたから
問題にされませんでしたが、
現在のように物が安くなる経済環境下では、
その売却時期が遅れれば遅れるほど、
適正な相続税額を取りはぐる可能性が増すのです。
明日に続きます。
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