| 第3回真紀子さんが悪いワケじゃない!
 物納の原則に照らせば目白にある広大な敷地や軽井沢の別荘など、
 ほかにも換金容易な財産を持っている真紀子氏は、
 非上場株式を物納することはできないハズでした。
 ところが真紀子氏の税理士は、国に対し、
 「物納した非上場株式をファミリー企業が5年かけて買い戻す」
 と、いう枠組みを提示し、
 非上場株式の物納という特例をゲットし、
 売却時期や売却価額に法的強制力がないという
 相続税法の盲点を利用した節税につなげたのです。
 実務上、このような交渉は一般的に行なわれていることで、今回が特別なケースというわけではありません。
 ただ、真紀子氏の顧問税理士には元国税出身者が多いため、
 そのあたりの交渉がワリと簡単にいく
 と、いうことはあったのかも知れません。
 既述の通り、今回の事例を受けて国は、
 物納できる非上場株式の条件を明確にしました。
 その内容は、
 (1)特定の経営指標が同業種平均以上であること
 (2)当期利益がマイナスでなく、配当可能利益があり、
 確実に売却が見込め、物納資産として適当であること
 (3)買受人が確認できていること
 だ、そうです。
 これに従えばほとんどのケースではじかれるため、
 非上場株式が物納できるのは
 物納できる財産がそれしかない場合に限る
 と、いう方向性を改めて示した形となりました。
 文春には『怠納』という書かれ方をしていましたが、その本質は、
 相続税法の盲点を利用した節税であって、
 怠納の原因は真紀子氏にあるのではなく、
 買取り契約を履行しないファミリー企業にあって、
 さらに、
 このようなことが起こるのも、
 全て法整備が甘いからであって、
 「真紀子さんが悪いワケじゃない!」というお話でした。
 また来週… |