第881回
「ナンピン買いは確信を持つ人だけの行動です」
昨年暮のころのことですが、
私の投資セミナーに最初に参加してくださった方は
ナンピン買いを取り上げた
4冊目のテキストを読み終えたあと
中国株の動きに即しながら
次のような感想を書いてくださいました。
「最近株価が全体的に、上昇傾向にありますが、
先生が推奨されている鉄鋼などの素材株、
不動産株は上がりきった感じがしません。
これは、きっと多くの人が、未だ、
過熱や引き締めを警戒しているのだと思います。
けれど、鉄鋼やセメントが
もうおしまいであるはずがありません。
ただ、今回の『原料高の製品安』
という状況を前にして、
原料株に投資するにあたり、
各原料のことを、もっと知っている必要があったと
痛感しています。
例えば、鉄鋼やセメントを作るのに、
石炭が要る、などです。
恥ずかしながら、私は何も知りませんでした。
で、石炭価格が高騰すると、
鉄鋼やセメントの生産コストも
高騰することになってしまいます。
では、生産コストは、価格転嫁可能なのでしょうか。
自動車や船、飛行機、鉄道などは、
どれほど大量の鉄鋼を必要とするのでしょうか。
飛行機や鉄道、船はそんなに沢山売れるのでしょうか。
耐用年数は長そうですが、
その点を考慮しなくて良いのでしょうか。
こういう疑問が次々湧いてくるのです。
私は、知らないことばかりであることに、
改めて気づきました。
結局、どんな株にしても、ナンピン買い増しは、
断片的な知識や思い込みではなく、
有機的なつながりを理解し、
よくわかった人が確信を持って出来るのだと、
しみじみ思いました。」
この感想を読み、邱さんが、
『株が本命』(昭和63年、実業之日本社)で
「ナンピン買いは自信と勇気のある人の特権」
と書いておられたことを思い出しました。
と同時に、株を買うと急速に外界への視野が
広がることを伝える
「株は経済社会の『のぞき窓』である」
(『女の財布』昭和60年、世界文化社)
という言葉や
「1000株でも株を買えば、キミの世界観は一変する」
(『お金との優雅な関係』昭和62年、青人社)
という言葉が頭に浮かびました。
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