第765回
「女性も経済知識を持たないと生きていけません」
会社の株といえば、
すぐ頭に浮かぶのは上場会社の株ですが
そのほかに
「家族の財産が姿を変えた同族会社の株」とか
「同族会社ではないが、
知人や同志が集まってつくった営業目的の会社の株」
という非上場会社の株もあります。
邱さんが『女の財布』で
「一家の財産を夫に代わって運営してみること」を
薦めている会社は
こうした家族会社のような会社のことで、
ふだんは、
「それが株式会社であることが忘れられている」ような
存在の会社です。
ただ、
「(1)一家の最大の株主、
主人が死んで相続の問題が発生した時、
(2)相続を意識して、生前贈与や株式の譲渡が行われる時、
(3)夫と妻の間で離婚の話がもちあがって、
財産をどうわけるかが問題になった時、
(4)会社が経営困難に陥って会社ごと売却するか、
債権者にとられる時」
といった
「家族にとって非常事態が発生した時」には
その存在がクローズ・アップされます。
その時点で相続が問題になるのですが、
邱さんは普段からの経済の勉強が必要だと
警鐘を鳴らしています。
「奥さんのほかに
ちゃんとした後継ぎの息子もいて、
事業を継承できる場合はさして問題は起こらない。
ところが、夫のほかに夫の兄弟がいたり、
あるいは、パートナーが家族以外の人であって、
しかも奥さんはご主人の仕事に生前、
全くかかわっていなかったとなると、
いくら株を50%持っていても、
会社を維持していくことができなくなる。
会社の事業内容は、経営する人によって
良くもなれば、悪くもなるし、
ご主人がいなくなったとなると、
遺族たちから会社の経営権を任された人々が
遺族たちを追い出すために、
会社の内容を意識的に悪くしてしまうことも考えられる。
こうしたことは
私に相談をもちかけてきた女性の身に
実際しばしば起こっている。(中略)
あれこれ考えると、
女が経済とか、事業に対して全く無知で、
一家の収入源に対して
何も知らない状態におかれると、
夫と死別した途端に
収入の道もとざされてしまう心配がある。
やはりある程度、経済に対する知識がないと
今の世の中には生きてはいけないのである。」
(以上すべて『女の財布』)
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