第723回
女性観のリニューアルが必要です
この世は男性と女性で構成され、
両者の共同で社会生活が営まれています。
この社会生活は道徳とか習慣とか
制度で支えられていて、
これらは微動だにしないくらい
堅牢なものにみえますが、
邱さんによると、社会もまた
変化していくもので、
その動きにマッチした考えをしないと、
この世をうまく泳げないようです。
たとえば、いまから20年も前の
著作においてのことですが、邱さんは
「頭の古い男たちの女性観を排する」
と題して次のような文章を書いています。
「頭の古い人がいるものだ。
将棋何段とかいう人が婦人雑誌に、
男と女の違いを論じているのを読んだが、
これを見ると、
『女は男と違うのだから、家にいて
家事のようなくりかえしの仕事に従事したほうがよい』
と書いてある。
『働きに出たとしても、
女は力仕事に向いていないから、
机を運んだりするのは男の仕事だが、
封書の宛名書きは女の仕事だ』
とも述べている。
読みながら
『無形文化財みたいな人だなあ』
『もうかなりの年配だから、
奥さんもあきらめてくれるだろうが、
女のほうから離婚を宣言されて、
青天のヘキレキとばかり
あわててふためくのはこういう人だろうなあ』
と思った。
男と女の間の垣根が取り除かれつつあること、
女の職場がほとんど男と区別できなくなり、
そのうちに頭の悪い男たちが
頭のよい女に使われるようになるであろうこと、
人生が平均80歳と長くなりすぎて、
従来のパターンの家庭生活は
持続できなくなっていることなど
少しもきづいていないようなそぶりなのである。
『保守反動』という点では、
私もフツーの『日本の男』たちの人後には
落ちないと思うが、
時代の動きには敏感に反応するほうだから、
『時代が変われば、考え方も変えなくっちゃあ』
と自分自身に言いきかせている。」
(『家計と借金の法則』昭和61年)
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