第509回
40歳のときの選択が後半の方向を決めます
人間の寿命が延びてきているので、
60歳になり、定年を迎えたあと、
仕事が無くなれば、
精神的にも経済的にも困ったことになるなあと
心配している人が多いと思います。
そう心配する人たちに向かって邱さんは
「制度の犠牲になるまいと思えば、
個人の方がそれに挑戦するほかなく、
自分勝手に『40歳定年』を決め込むとか、
定年のない職業を探せばいいのではないですか」
「自分で自分の運命を決定できる位置に
自分をおくよりほかないのではないですか」
とアドバイスしています。
「会社に『40歳定年』ができないうちに、
自分勝手に40歳定年を決め込めば
自分の方から会社を辞めるほかないし、
また定年に影響されない職業に就こうと思えば、
定年になるよりずっと前に自営業に移るよりほかない。
それは社員の中途退職を防ぎ、
その忠誠心をつなぎとめるために考え出された
『年功序列給』や『退職金制度』などの壁を
乗り越えてしまうから
世間の常識にも反するし、
『走る馬の鼻先にぶらさげられた人参』にも
当然、ありつけないことになる。
しかし、それを承知で社会の常識に従わないところから、
新しい道がひらけることもまた事実であるから、
あまりくよくよすることはないであろう。
要するに最初の第一歩を踏み出せば、
『第二の人生』ははじまる。」
(『貧しからず 富に溺れず』)
私などもご多分に漏れず、40歳にかけて、
人生の先が見えたような気持ちになり
うっとうしい気分の日々が続きました。
『40歳定年制』を自分に強いる力はありませんでしたが、
何もしないと先々つぶしのきかない
年寄りになるように思いましたので。
40歳を節にして、
会社の中での仕事の内容をガラッと変えました。
いま思えばこの転換で、
それまで知らなかったことを体験することになり、
世の中と接する面が多少広がりました。
またこの選択がきっかけとなって、
50歳になったときに会社を辞め、
定年にしばられない世界に飛び出しましたので
40歳のときの選択の持つ意味は
大きかったように思います。
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