第500回
「賢明な生き方を考えつつ、生活設計を立てましょう」
邱さんがサラリーマンのことについて書いた作品に
『貧しからず 富に溺れず』という著作があります。
この作品は「今に見ていろ、君だって60歳」
というタイトルの文章からはじまります。
この本が出版されたのは昭和60年のことで、
たまたま私は昭和18年生まれですから
この本が出版された時には42歳でした。
それから19年の年月がたち、
私自身は61歳になり、
「君だって60歳」が現実のものとなりました。
邱さんがこの文章を書いたとき
会社の定年年齢は55歳でした。
しかし、日本人の平均寿命は
男性が74歳、女性が79歳になっていて、
多くの日本人は80歳前後まで生きるのが
フツーになっていましたので、
邱さんはこうした変化を考慮に入れ、
自分なりに納得できる人生設計を
立てることを推奨しています。
「とにかく80歳まで生きることが
フツーの人生ということになれば
60歳を年寄り扱いするのは間違いだし、
また60歳で年をとったと自分で思うのもよくない。
20歳、30歳の青年から見れば、
60歳は遥か先のことかもしれないが、
『あのオジン』と陰口をきいたりしているうちに、
年だけは確実にとるものであるから、
一生を通してどう生きるのが賢明な生き方か、
一応は頭に入れて生活設計を立てるべきであろう。」
(『貧しからず 富に溺れず』)
ちなみに最近の報告によると
日本の平均寿命は
男性が78.4歳、女性が85.3歳で、
どちらも世界一だそうです。
『貧しからず 富に溺れず』が出版されてから
20年近い年月がたったわけですが、
この間、日本の平均寿命は男性で4歳、
女性で6歳くらい増えているわけです。
その間に会社の定年も60歳になり、
昨今は65歳までに延長できないか
という議論が行われていますが、
人生は長くなり続ける傾向にありますから、
節目、節目で、
自分の人生のあり方について考える必要は
益々高まっているように思います。
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