第436回
至れり尽くせりの環境では貯蓄の精神は生まれません
自分の人生を設計するには
仕事をどうするかということと、
自分の財産をどう築いていくかという面があります。
私が9月に開いたセミナーでは、
仕事をどうするかという点を中心に探究しましたが、
こんどは仕事を通して得たお金をもとに
自分の財産をどう築いていくかという点について、
勉強したいと思いますがどうですかと、
前回のセミナーのメンバーに呼びかけると、
10人ばかりの方が応じてくださることになりました。
勉強会にはテキストがあると何かと好都合です。
この分野では邱さんの著作がたくさんあり
テキスト選びには困りません。
一応『お金の原則』をその1冊に選び、
久しぶりに再読しました。
この本の目次に目を通すと
すぐにピーンとくることがあります。
「大企業の人は、中小企業の人より意外とお金がたまらない」
という指摘です。
「日本の経済社会には会社という独自のシステムがあります。
中でも、いわゆる一流会社は給与体系がしっかりしているし、
給料も高いので、学校を出るとみんなそこに就職したがる。
この傾向は、昭和30年代のはじめ、
日本が高度成長期にはいるかなり前から、ずっとつづいています。
たとえば東京海上火災なんかは、
給料がいつでもいちばん高いから、
誰もがはいりたがります。
そういう会社は会社自体が儲かっていますから、
福祉関係もしっかりしているので病気をしても、
自分でお金を払わなくていい。
社員社宅も立派なのがあって家賃も安い。
会社を辞めないかぎり、至れり尽くせりで、
そうなると、温泉に入っているようなもので、
貯蓄の精神なんてなくなってしまいます。
1万円で住める社宅があったら、
毎月10万円も20万円もローンを払う気がしなくなる。
生活が保証されているわけです。
そんなことまでしなくていいじゃないか
という気持ちになってしまうわけです」
(『お金の原則』)
私も、かつては大手の会社につとめていましたが、
多分そのことが関係したのでしょう、
長いあいだ、貯蓄の精神が生まれませんでした。
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