第319回
「自分の貴人は自分で探しましょう」
昭和59年に
PHPライブラリの一冊として発刊された
邱さんの『野心家の時間割』は、
発売とともにベストセラーになりました。
この本で邱さんは、自分を引き立ててくれる
「貴人」のことについて書いたところ、
邱さんは、この本を読んだ青年たちから
たちまち「貴人」として扱われるようになったそうです。
「この本が飛ぶように売れるようになると、
私は数えきれないくらい多くの読者たちから
『今日は貴人に会いに来ました』
『今日は貴人に会えて嬉しかったです』
と挨拶されるようになった。
貴人とは出世のきっかけをつくってくれた
生涯の恩人のことである。
その貴人にいつの間にか私がされてしまっている。
私は人生を生きるにあたって、
そういう人との出会いがあることを
紹介しただけのことであるが、
よほど印象が深かったのであろう。
なかには、本を持ってきて、
わざわざ私にサインを求める人もあったので、
私は『自分の貴人は自分で探せ』と書いてあげた。
すると、気の早い人や横着な人は、
『いや、先生が僕の貴人です』
と探す努力も省いてしまったりする。
人と人との出会いの中で、
生涯の伴侶になる人もあれば、
莫逆の友になる人もある。
またどこでふれあうか全く想像もつかないが、
あとで考えると、この人のおかげで今日の自分があると
思いあたる恩人との出会いもある。
そういう出会いは宿命だといえば、
確かに宿命であろうが、『棚から牡丹餅』ではない。
必死の努力をして、
それが目上の人に認められるきっかけとなって、
面倒をみてもらえるものであって、
好運のほうが向こうから
とびこんでくるわけではないのである。」
(『楽天家でなければ生きられない』)
「自分の貴人は自分で探しましょう」というのが、
邱さんのメッセージなのです。
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