Qさんは、かつて「知恵は借り物でも知恵である」と書きました
そういうことをおっしゃる人の知恵ならいくら借りてもモンクは出ませんね

第300回
「独立のきっかけは職場で覚えた仕事の延長線か隣にある」

『四十歳からでは遅すぎる』で邱さんは
サラリーマンが会社を辞めて、
独立自営の道に踏み出す過程を叙述しています。
コンピュータに関係した仕事をしていた河野真さんが、
その仕事で覚えた技術を活かして古書検索システムを開発し、
一つの事業を創り出した例などを頭において読むと、
理解が深まると思います。

「いったん就職すると、日本の社会は会社社会であり、
個人は会社を中心として動くだけでなく、
一生、会社のために奉仕する組織が待っているから、
歯車の一つが機械の中から飛び出して、
別の新しい機械に進化するのはよういなことではない。
そのまま巻き込まれてあっと気がついたら、
もう定年になっていたというのがおちであろう。

したがって、そこから飛び出すには
かなりの勇気と決断力が必要である。
会社からみたら一個の部品にすぎない者が
飛び出して一個の完成品になるには
異常な情熱と努力が必要なのである。

その場合、会社から飛び出して何ができるかというと、
人間という者は、どこにでも行けるようにみえるが、
実際には紐で脚をしばられた鳩のようなものである。
しばられた紐の範囲でしか動けない。
一つは職場で覚えた仕事という紐であり、
もう一つは今までに築きあげてきた
人間関係という紐である。

先にもふれたように、独立のきっかけは、
職場で覚えた仕事の延長線上で考えられる仕事か、
それとも隣り合わせの仕事かである。
たとえば、大学を出て最初に勤めた職場が
日立や東芝の半導体部門だったとする。
職場でやらされる仕事はハードの組み立てであったが、
パソコンやワープロはハードだけでは成り立たない。

ハードよりもその中に組み入れる
アプリケーション・ソフトの方がずっと大切であり、
そういう需要が山ほどあるのに、
会社ではその開発も思うようにできていない。
外注に出そうにもそういう外注先がほとんどない。
『ここだ。ここをやれば無人の広野を行くようなものだ』と、
コンピュータ業界の穴場に気づいて、
独立してソフトの会社をつくり、
急成長して二部とか店頭に
株の公開をするようになった例はいくらもある。」
(『四十歳からでは遅すぎる』)


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2003年6月23日(月)

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