第149回
自分の人生の目的を絞りましょう
堺屋太一さんと渡部昇一さんとの対談を掲載した
『競争の原理』という本が平成8年に出版されました。
この本の中で、人生計画を立てる上で堺屋太一さんが
「戦略を持つことが成功への第一歩である」と
話しています。
以下二人の対談の内容です。
渡部昇一:「人生の終りに差し掛かって、
己の人生を振り返ってみる。
自分は何をやっていくんだろう、
と思う人が多いはずです。
毎日毎日遊んでいたわけじゃない。
結構忙しく働いていたし、
そのときそのときで意気に燃えたこともあった。
意気に感じ、遣り甲斐も覚えたし、充実感も感じた。
それでも長い目で自分を振り返ってみると、
自分はいたのかと感じ得ない。
こういう人は戦略がなかったと思っていい。
戦術だけがあって戦略がなかった。
それを戦略があると錯覚していた。
そういうことでしょう。
堺屋太一:「まず、戦略ありきです。
何よりもまず戦略をもつ、
それが成功への第一歩です」
それを受け渡部昇一さんが、
邱さんの話を引用しながら
「単一の明確な目的をもつこと」が
大事であると述べています。
渡部昇一:「個人レベルでも単一の明確な目的をもつことは
大事ですね。
邱永漢さんもいっているんだが、
金を儲けたいのか、事業を大きくしたいのか、
地位が欲しいのか、贅沢がしたいのか、
社会的名誉がほしいのかはっきりしない人が多い。
そういうのは絶対成功しない、というんですね。
ま、金を儲けた人は事業も大きくしていることもある。
金があるから贅沢もできるし、
地位や名誉がくっついてくることも多い。
だが、それは結果としてそうなったのであって、
これを全部目的にしたらうまくいくわけがない。
まず目的は何か一つに絞って
はっきりさせるべきだというわけです。」
堺屋太一:「それはそうでしょう。
金を儲けることと、事業を大きくすることと、
人から尊敬されることは全部違うんだから。
どれを目的にするかで、やり方が違ってくる。」
(堺屋太一・渡部昇一『競争の原理』)
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