第147回
目標を立てて、しあわせを実感したいものです
私は50歳になってからマネジメント研修の講師になり、
あちこちの会社にでかけていって
部長さんや課長さんたちが自分の目標を立てたり、
立てた目標を達成する方法を考えだす手伝いを
するようになりました。
目標を立てるといったことは
会社に入ってから皆やっていることですから、
特別な作業ではないと思っていましたが、
課長や部長といった人であっても、
この作業は簡単にいかないことに気づきました。
当初は自分のレクチャーの方法が
まずいのじゃないかと反省し、
あれこれ研究しましたが、
勉強したりあれこれ実践した結果、
私は自分なりに一つの結論を得るに至りました。
それは自分の目標を立てることを得意だと感じる人は
それほど多くなく、目標を立てることを苦手と感じる人が
圧倒的に多いということです。
日本のマネージャたちが得意なのは、
自分が今置かれた状況を説明することです。
自分や自分たちが置かれている状況を
説明することにはたいへん熱心です。
しかし、その状況から抜け出て新しい境地を切り開くために、
こうすべきだといった考えをする人は
いたって少ないと考えるようになったのです。
それは自分が組織の長として仕事をしていた頃のことを
ふり返ってみても、言えることで、
私自身決められた目標を達成することには
熱心だったように思いますが、
自分で次にやるべき目標は何かと考えをめぐらしていたかと
きかれたら、「いやあ、そうではなかったですねえ」と
答えざるをえません。
比較的、目標を立てやすい仕事の組織の中でそうですから、
自分の人生を経営するといった場面になると
目標を立てることが苦手という弱点がもろに出てきます。
しかし、それでは“しあわせ”を実感できなくなります。
邱さんによれば「しあわせとは自ら目標を立て、
その達成のために努力すること」ですから。
そうと気づけば自分に問いかけなければいけませんね、
「私の今年の目標は何かなあ」と。
|