| 第9回 自分の家庭に合った住まいは自分で選ぶほかありません
 
 私は瀬戸内海の淡路島生まれで、オヤジは島の北端の岩屋というところで石油を売っていました。
 私は12歳のときに島を出て、対岸の西宮市に移りました。
 私立の中学校に入って勉強したいという私の要望によるもので、
 オヤジの仕事の都合で、学校を変わったわけではありません。
 ところが私自身は転勤族になりましたから、
 我が家の子供はオヤジが転勤するたび住まいが変わります。
 色々なところで住めていいという面があるかもしれませんが、
 せっかく友達ができたのに、不意に別れなくてはならなくなってしまう
 といったことがあったかと思います。
 そこで、私はある時期が過ぎたら、子供達はオヤジの勤務の影響を受けず、
 定位置から学校に通えるようにしてやろうと考えました。
 貯金の額も土地を買うに必要なレベルに届きそうになってきました。
 念のため家族の年齢推移表を書いてみると、
 長男が五年後に高校に進学することになることがわかりました。
 そこで、長男が中学を卒業と同時に移り住み
 高校にはそこから通う自宅を建てようじゃないか
 ということになりました。
 そうと決まれば次のテーマは土地探しです。我が家には長男を頭に二人の娘がいます。
 三人の子供たちが伸び伸びと遊べる空間が必要だと思いました。
 またオヤジが毎日の通勤でクタバッてしまっては話になりません。
 通勤時間が一時間くらいのところがいいなあとも考えました。
 結局、江ノ島が見える海岸に近い場所で
 土地を手に入れることになりました。
 邱さんの職住近接の考えから見ると、
 ずいぶん離れた場所を選びました。
 ただ、私の頭になかった考えに触れたため
 自分の本音を自分自身に迫ることができました。
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