| 第7回 邱さんは「斉家」の経済学者です。
 私は定年のことやら家を確保する話で頭を痛めていた時分に邱さんの文章に接したことになります。
 そして短い文章を読んで
 私の中の邱さんのイメージがすっかり変わりました。
 邱さんって経済の流れを読み、
 その流れに沿った生活設計法を考え
 読者に提供してくれる人じゃないか、
 生活者の立場から経済の動きをとらえ、
 理に叶った方法を提供してくれる人じゃないか
 ということに気つきました。
 自分のようなペーペーのサラリーマンに縁遠い存在であるどころか、お金のない人間がお金にありつこうとしているときに
 後からグイと押してくれる人なのだということに気づきました。
 「お金儲けの神様」とか「株の神様」とは
 本や雑誌を売らんがために
 マスコミの人たちが邱さんにつけたニックネームで、
 そういう言葉からだけで邱さんをイメージし、
 自分から遠ざけていたおろかさに気づきました。
 中国の古典に「修身斉家治国平天下」
 という言葉があります。
 自分の行いを正しくし、家庭を治めることが大切で、
 そうすれば国家も治まり、天下は平らかになる。
 天下を治めるにも、まず個人の身を修めることが大切だ
 という意味でしょう。
 邱さんはこの表現を使い、
 「私の経済学は
 『治国平天下』の経済学ではなく、
 『斉家』の経済学です」
 と解説しました。
 なるほど、学校でやった経済学は『天下国家の経済学』
 一方、邱さんが展開する経済学は
 『一家を治める経済学』
 私は邱さんの文章が自分にビリビリッと感じられた理由が
 とてもよくわかりました。
 邱さんの文章は私にもっとも欠けていた弱点を突く経済思想だったのです。
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