第316回 (旧暦1月10日)
植物活用術は人間生活の原点です
早いもので、当コラムも今日でちょうど満1年を迎えます。
そこで、突然ながら、この「野行き、山行き、この元気」は、
本日を持って一旦終了させていただくことに決めました。
仙人めにとって、ホーム・ページなどというハイカラな舞台は
初めての経験で、何かといたらぬ点があったと思いますが、
1年間飽きずにお付き合い頂きましたこと、
厚く御礼申し上げます。
いずれ適当な時期を見て、
今度は別のテーマで再登場するつもりでおりますので、
その節はまたよろしくオツキアイ願います。
さて、このコラムでは、1年間にわたり、
身近な自然で遭遇する木や草を
食材や薬剤として利用する知恵を中心に紹介してきましたが、
少しはお役に立てたでしょうか?
前にも書いたことがあるように、生物界における物質循環では、
われわれ(動物)は植物が生産する有機物を摂取して
生存のためのエネルギーとしていますが、
そればかりでなく、人間は、衣も住も薬も、
そのほとんどを植物を利用して生活を営んできたのです。
そのため、われわれの祖先たちは、
身の回りにある木や草が自分たちの生活に
どのように活用できるか、ということと
真剣に取り組んできたのでした。
つまり、自分たちの周囲にある植物を知り、
それをいろいろに活用する知恵を育むことが
われわれの祖先たちのもっとも大切な仕事であり、
それを身に付けることで家族を養ってきたのです。
ということは、植物活用の知恵を身に付けることは、
人間生活の原点であったということになるわけですが、
科学知識が発達して少し便利な生活に慣れてくると、
その大切な原点はすっかり忘れ去られてしまいました。
この1年、「野行き、山行き、この元気」で
身近な植物に目を向けることをすすめてきたのは、
実は、そのことを通して少しでもそこに気が付いてもらえれば、
という思いがあったことをお伝えして、
連載の筆を置くことにしましょう。
長い間のオツキアイ、ありがとうございました。再見!
|