蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第262回 (旧暦10月26日)
そろそろヤマイモの季節になってきました

いま、都市近郊の里山では黄葉したヤマイモの葉が目に立ちます。
一般に、多年生の草本植物は、
地上部が枯れ落ちる晩秋から冬にかけて、
来るべき春の芽吹きに備えて
地中の根や地下茎がタップリと栄養分を蓄えるものです。

クワイ、レンコン、ユリ根など、
もっぱら根や地下茎を食用するものの大方が
冬場に旬を迎えるのも、
ひとえにこの自然の摂理にほかなりません。
そこで今日は、ヤマイモの話でもしておくことにしましょうか。

ここに言うヤマイモとは、
いわゆる「自然薯(じねんじょ)」と呼ばれるやつで、
学問的に検証すれば
「ヤマノイモ科ヤマノイモの担根体(たんこんたい)」
ということになります。
ちなみに青果店やスーパーで
「長イモ」「ヤマイモ」などの名で売られているものは、
中国から渡来したナガイモの末裔であり、
本種とも近縁ではありますが、もともとが別の種で、
味・香り・コク・滋養とも、
やはり天然のヤマノイモにはかないません。

さて、このヤマノイモは、良質のデンプンをはじめ、
ジアスターゼ、コリン、各種アミノ酸などを豊富に含み、
古くから滋養強壮の薬菜として活用されており、
生薬名で「野山薬(やさんやく)」と呼ぶほかに、
その色や形状、滋養とから「山ウナギ」とも呼ばれます。
食べ方は、やはりトロロ飯が一般的ですが、
月見、清汁、加えて酢の物、揚げ物、サラダにと用途は広く、
さらには、その特有の粘性を利用して、
ソバ、カマボコ、和菓子つくりにも使われてきました。

また、芥川龍之介の名作「芋粥」で
主人公の五位の侍が好んだ芋粥もこの自然薯の粥でしたから、
こちらの分野に趣味がある人なら、土鍋でコトコトと芋粥を炊き、
「山伊毛」「夜萬都以毛(やまついも)」と
書かれ・呼ばれた時代の素朴な味覚を
こっそり偲んでみるのも一興でしょう。
ただし、この自然の美味を楽しむためには、
まずその前に肝腎の自然薯そのものを手に入れなければなりません。
そこで明日は、ヤマイモの掘り方を伝授しておくこととしましょう。

ツルナヤマイモを掘り下げた仙人

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