蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第219回 (旧暦8月27日)
屋根の庇に生える薬草もあります

萱(かや)や桧皮(ひわだ)などの植物で葺いた
屋根の庇(ひさし)や苔むした老木の樹幹から、
幅1cm内外、長さ10〜15cmほどの細長い葉が
何枚も下向きに垂れ下がっている光景を
目にしたことはないでしょうか。

これは、ノキシノブというウラボシ科のシダ植物で、
『万葉集』にも「子太草(しだくさ)」の名前で
登場していますが、葉の裏を見ると、上半部に、
円い胞子のうが数個ずつ2列に並んでおり、
この胞子のう群の姿から「八つ目蘭」とも呼ばれます。

ビル化した市街地ではほとんど目にする機会はないものの、
寺や神社など古い建物や老木が残っているところでは
比較的目に触れることの多いシダですから、
少し注意して観察してみるとすぐに見つかるはずで、
たとえば、神社の多い鎌倉では、タンポポやオオバコなみに、
ごくごくふつうに見られます。

中国の古い本草書に「七星草(しちせいそう)」とか「
金星草(きんせいそう)」の名で登場するシダ植物も、
このノキシノブのこととされ、漢方では、
これを乾燥したものを「瓦韋(がい)」と呼んで、
主として利尿の薬とされてきました。
ちなみに、ノキシノブのことを「瓦韋」と呼ぶのは、
やはりウラボシ科のシダで利尿の薬草とされるヒトツバが、
岩の上に生えるところから
「石韋(せきい)」と呼ばれるのに対し、
ノキシノブは屋根の庇などに多く見られるためでしょう。

ノキシノブに含まれる薬理成分はまだ精査されていませんが、
利尿作用にすぐれることは実証済みで、
民間では、腎臓病や糖尿病、淋病などに
1日量10gの瓦韋を300〜400ccの水で煎じて
お茶代わりに飲用したり、神経痛、リウマチなどの痛みに、
1回量3〜4gを100ccの水で煎じて服用する、
などの療法が古くから伝えられています。
このノキシノブというシダは、常緑性のため、
通年いつでも利用できますから、
多くの草本類が枯れる秋〜冬の季節に利用するとヨロシイ。

ノキシノブ

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