蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第149回 (旧暦6月7日)
ツユクサは由緒正しき万葉の花

『万葉集』に収録されている歌のなかには
いろいろな植物が謳われていますが、
この『万葉集』に登場する植物のことを
一般に「万葉植物」と呼ぶ習慣があります。

ちょうど今ごろから9月上旬にかけて
全国の草地や田畑の畔、
また川辺などでふつうに見られるツユクサも、
その「万葉植物」のひとつで、
万葉の時代には「鴨頭草(つきくさ)」と呼ばれていました。

「つきくさ」というのは、
この花弁のもみ汁を布にこすりつけると
青く着色して染まる、という意味ですが、
その名前の由来どおり、
ツユクサは古くから染料植物として重用され、
京都と加賀(石川県)の手描き友禅染めの下絵描きには
このツユクサの一変種である
オオボウシバナの花弁が用いられています。

いつだったか、「食薬染」といって、
日本で古くから用いられてきた染料植物は、
染め草であると同時に「薬草」であり
「食用」であることを紹介した記憶がありますが、
このツユクサもその例外ではなく、
花の時期に全草を採って天日乾燥させたものを
「鴨跖草(おうせきそう)」という生薬名で呼び、
解熱や、利尿、下痢止めなどの薬として
利用されてきたのです。

また、民間では、ゼンソクに
この鴨跖草茶を常用したり、
暑気あたりに清汁にして飲用したりするほか、
ハチやカ、アブなどの毒虫に刺されたとき、
葉や茎のもみ汁を塗る、などの療法が伝えられてきました。

それに、仙人が数年前に
島根県山間部在住の古老に教えられたところでは、
マムシに噛まれたとき、
このツユクサのもみ汁を噛み傷に塗ると
応急手当として効果があるということですから、
この機会に頭の隅っこにでもしまっておくと、
イザというとき思わぬ命拾いをすることになるかも知れません。

なお、「食薬染」の「食」の部分に興味がある御仁なら、
開花前の新芽を摘み、
ひとつまみの塩を加えた熱湯でサッと湯掻き、
すぐ冷水にとって水を切ったものをひたし物にするか、
花のついた花茎を摘んで同様に処理したものを
2杯酢または3杯酢で召し上がるとヨロシイ。

歯切れ、舌ざわりともなかなかのもので、
夏の酒の肴としてもよく合いますゼ。

ツユクサ

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