第35回 (旧暦2月5日)
歯痛がピタリの仙人の秘薬
3月7日は「消防記念日」。
消防といえば火事と救急車ですが、
その救急車とほとんど縁のない医療機関が三つあります。
それは、眼科、耳鼻科、歯科の三つで、
いずれも生死を争う救急事態が
めったに発生しないからでしょう。
しかし、イノチに別状はないといっても、
あの歯の痛みというやつは
トニカク救急車でも呼びたくなるとは思いませんか?
そこで今日は、そんなコラエきれない歯の痛みを
ピタリと鎮める仙人の秘薬を伝授しておくことにしましょう。
その秘薬の名は「ヘビイチゴ酒」。
つまり、ヘビイチゴの実をホワイトリカーに漬けたものです。
ヘビイチゴくらいは誰でも知っていると思いますが、
ホレ、5~7月ごろ田畑の畦や
日当たりのよい草やぶなどで見かける
直径1cm内外の球形の赤い実(花托)のことですよ。
「蛇苺」という不名誉な名前と、一見毒々しげな姿から、
毒だと思い込んでいる人もいるようですが、
「食べてもマズイのでヘビにでも喰わせろ」というのが
名の由来で、決して毒ではありません。
それどころか、止血や消炎の作用にすぐれ、
歯痛のほか、切り傷、すり傷、トゲ抜きなどに
卓効がありますから、
これからは「ヘビなどに喰わせてなるものか!」
というつもりでセッセと摘むことですナ。
ヘビイチゴ酒の作り方は、
酒1.8リットルに対して実0.9リットルをビンに入れ、
35度のホワイトリカーを注いで密封し(糖類は不要)、
冷暗所で3か月ほど寝かせておけば使えます。
歯痛には、脱脂綿に含ませて患部に押し当てておくと
じきに痛みが治まりますし(飲み込んでもダイジョウブです)、
トゲが刺さったときは、
これを浸した脱脂綿を当ててバンソウコウで止めておくと、
刺さったトゲが自然に飛び出してきますゼ。
なおヘビイチゴには山地の日陰に生える
ヤブヘビイチゴという親類がありますが(実が少し大型)、
これも同様に利用できます。

ヘビイチゴの実
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