旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第146回
中国行きの航空券が高く感じるワケ

中国への航空券は全体的に割高な感じがしませんか。
日本からの航空便数が多い上海と、バンコクを比べてみましょう。
冬場の安い時期で比べます。
バンコクの場合、成田空港からだと8社が就航。
西アジアや南アジア系の航空会社が最も安く、次いでアメリカ系、
地元系のタイ国際航空や日系航空会社といった順で高くなる。
冬場だと安いアジア系なら、3万円台前半からあり、
1000円刻みで航空券が出ている状態。割高な部類だとはいえ、
日系航空会社の正規割引航空券も5万円台ほどで購入できます。

一方の上海は、日系、中国系、アメリカ系の5社が就航。
最も安い航空券は、中国系である場合が多いのですが、
これはバンコクと比較しても遜色ないほど安い。
アメリカ系のノースウエスト航空も変わらないくらい割安。
ところが、日系になると8万円以上に跳ね上がります。
その中間の価格で乗れる航空会社がほとんどない。
安い中国系か、高い日系か。そんな状態なのです。

海外旅行に慣れている人ならお分かりだと思いますが、
8万円といえば、冬場はヨーロッパの直行便に乗れる。
アメリカならその半額で売られることもある。
それに対して、半分、いや3分の1の時間で行ける上海で、
8万円というのはかなり割高に感じます。
ツアーにしても、日系航空会社を使うと、
中国系を使うものに比べると、グンと値段が上がる。

中国行きの航空券が割高になっている理由は、いろいろあります。
1つは日系航空会社がビジネス渡航者を主な客層にしていること。
ある航空会社など、ガラガラに空いていても安い航空券を出さない。
エコノミークラスに10万円前後という値段で乗ってくれる、
ビジネス客が乗ってくれるから、それでも利益が出るのでしょうか。

中国系の航空会社に日系ほどの人気がないのも理由の一つ。
いいイメージをつくらなければ値段を下げて売るしかない。
高いお金を払って広告展開をしなくても、
マスコミに露出してもらうようにするなどしてもいいわけですが、
そういう努力はあまりされていない。情報公開も足りない。
発展途上の国の航空会社ですから、サービスの質やレベルが
欧米や日本の航空会社の域に達していなくても仕方ない。
ですが、情報を積極的に公開するだけでも、
ずいぶん旅行者は安心するのではないでしょうか。
ボーイング社の新しい飛行機を購入しているなど、
セールスポイントもあるはずです。
乗る側としては、情報がないと不安になります。

他のアジア諸国やアメリカ、ヨーロッパに比べると、
航空会社間の競争がそれほど激しくないのも一因。
レジャーは中国系、ビジネスは日系と、
棲み分けされていれば競争は起きようがありません。


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