第142回
大手が運航する格安航空会社
日本ではJALやANAの大手と、
スカイマークエアラインズやエアドゥなどの新興航空会社とは、
きっちりとした棲み分けができています。
大手と新興航空会社とでは、普通運賃の金額が大きく違います。
ところが、アメリカの航空業界では今、大手の航空会社が、
新興の格安航空会社に対抗する航空会社の運航を始める例が急増。
今年9月には、ユナイテッド航空が「テッド」という格安航空会社、
専門用語でいえば、低コスト・オペレーションの航空会社を設立。
レジャー客を狙った低価格の料金で運航が開始される予定です。
ユナイテッド航空といえば、最近でこそ、チャプターイレブン、
つまりは連邦破産法第11条の適用という憂き目を見ましたが、
かつては「ビッグ・スリー」と呼ばれた航空会社の1社です。
しかし、格安航空会社や「ビッグ・スリー」以外の活躍もあり、
そういう言われ方をすることもめっきり減りました。
最近では、旅客数や路線ネットワークといった規模に加え、
収益性が重視されます。世界的な航空会社間の提携が進み、
さらに大きなネットワークが形成されているのも、一因でしょう。
前置きが長くなりましたが、大手航空会社が低コストの航空会社を
運航するようになれば、利用者が安い料金で飛行機に乗れる機会が
増えるということです。もちろん、過度なサービスはありません。
「テッド」にもファーストクラスなどなく、オール・エコノミー。
しかし、短距離で、しかもレジャーで乗るなら、それで十分です。
日本でもスカイマークやエアドゥ、スカイネット・アジアといった
新興航空会社もそこそこの搭乗率を保てるようになりました。
だんだんと市民権を得てきたといえそうです。
今では、羽田と九州や北海道を結ぶ路線が主ですが、さらに
路線を拡大するようになれば、大手もうかうかしていられない。
現在のコストで対抗できないとなると、
低コストの航空会社を運航しはじめないとも限らない。
「大手信仰」の強い日本では、まだまだ先のことでしょうが。
|