第70回
旅行だけでは飽き足らず現地で働く
仕事や取材で海外へ行くと、現地にいる日本人の
お世話になりますが、彼らの生き方は実に様々です。
私たちが接することが多いのは現地旅行会社のガイドや、
取材のコーディネイターといった人たちですが、
アジアなら、流行の雑貨店を営んでいたり、
ダイビングのインストラクターをしていたり。
欧米では、シェフやアーティストを目指している人たちに
出会うことも多い。
そういえば、ニューヨーク・フィルム・アカデミーで映画を
勉強中だった彼は元気にやっているだろうか。
そんなことを思い出したりもします。
彼らの中にはもともと志を持って海を渡った人もいますが、
旅行をしているうちにやるべきことを見つけることもある。
有名なアーティストになって一旗挙げてやろう、
好きなダイビングを続けて暮らそう、
店を大きくしてお金持ちになってやろう、
価値観はそれぞれのようです。
人助けをそのまま仕事にした人もいます。
私の弟はJICA関連の「アジア砒素ネットワーク」に属し、
飲料水の砒素公害が問題になっているバングラデシュで
安全な飲料水確保のために働いています。
その道に入るきっかけはインドのカルカッタにある
「マザー・テレサの家」でボランティアを始めたことでした。
遊びを仕事にしている私とはまったく違う職種ですが、
違うが故に興味と尊敬の念を覚えてしまいます。
もちろんニューヨークへ行ったから、インドへ渡ったから、
あるいは海外へ行ったからといって、やるべきことが見つかるとは
限りません。そういうものは偶然の賜物かもしれない。
ですが、海外旅行が一般化するに連れて、
海外でやるべきことを見つける人も増えているのでしょう。
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