第62回
国内路線の再編で被害を受ける!?
国内航空会社の競争がますます熾烈になってきました。
去年の10月、日本航空と日本エアシステムが経営統合をして、
JALグループを誕生させました。
これで、国内の大手航空会社は事実上、
JALグループと全日空の2社になりました。
国内航空会社の商品力は、基本的に
ネットワークと運賃で決まります。
その両方のバランスがとれている航空会社は強い。
しかし、ネットワークは必ずしも公平に整備されるとは限りません。
たとえば全日空は2003年度からネットワークを根本的に見直し、
幹線を充実させて低収益路線を運休する姿勢を強くしています。
羽田−伊丹、羽田−福岡、羽田−札幌などの幹線の便数を増やし、
一方で、羽田−旭川、羽田−青森、羽田−徳島などは、
それほど需要の見込める路線ではないとして運休。
収益性が低い路線をそのまま残す手段もあるのですが、
羽田空港には発着枠に余裕がなく、
どこかの路線を増やせば、どこかを減らすしかない事情がある。
こうしたことがあると影響を受けるのは当然利用者。
たとえば、それまで羽田−旭川、青森、徳島とも
2社が飛んでいたのがJALグループ1社になり、
便数が減ることで利便性が明らかに低下しました。
また、1社独占の路線ができてしまうと、
競争がなくなることから運賃が上がる危険性もあるのです。
かつてアメリカでは、ニューヨーク−シカゴ間が1社独占になり、
ニューヨークからシカゴへ行くより、
ニューヨークからカリフォルニアへいく方が安いという
現象が起きました。
それと同じことが起こるのではないかという懸念であるわけです。
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