第54回
経営破綻してもなくならない航空会社って?
日本で生活していると企業の破綻というのは、
かなり大事だと受け取られます。
高度経済成長時代の名残で、大きな会社は破綻しない
というのが、半ば常識になっていたからでしょうか。
しかし、海外旅行で利用する航空会社の中には、
経営破綻しても、何事もなかったように飛んでいるところがある。
昨年話題になったのがユナイテッド航空の例です。
同社は自力での経営再建を断念し、
米国連邦破産法第11条(チャプター・イレブン)を申請しました。
ユナイテッド航空がなくなると一番困るのは、
同社のマイレージサービス「マイレージ・プラス」を貯めている人。
このマイレージはツアーや割引航空券でも普通運賃と同じ加算率で
マイルを貯められることなどで、人気のマイレージですから。
「破産」などというとショッキングに聞こえるかもしれない。
チャプター・イレブンは、日本の民事再生法に例えられることが
ありますが、厳密には同じ法律ではありません。
企業が法の下での再建を目指せるようにさせるもので、
具体的にいえば債権の取立てが免除されるなどの利点がある。
ユナイテッド航空はこの法律の下で業績の回復を目指しています。
一足先にチャプター・イレブンを申請したUSエアウェイズは、
先日、見事に会社を建て直し、その適用を外れました。
では、チャプター・イレブンを申請した航空会社は、
料金やサービスを大幅に変えるのかといえば、そうとは限らない。
ユナイテッド航空は、アメリカだけでなく、成田からアジア各地へ
就航していますが、そのネットワークはほとんど変わっていない。
マイレージの内容にも大きな変化はありません。
ですから、経営破綻、すなわち倒産ではないわけです。
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