旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第44回
大手旅行会社が用意した激安商品は使えるか?

先日、JTBが東京・新宿に海外個人旅行者向けの
新店舗をオープンしました。
新宿といえばエイチ・アイ・エスの牙城ともいえる場所。
そこに敢えて個人旅行向けの店舗をオープンするのですから、
JTBは明らかに挑戦状を叩きつけたことになります。

かつて海外旅行におけるJTBの力は圧倒的でした。
しかし、それは業界が用意したパック旅行を買う、
そんなスタイルが全盛だった時代の話です。
10年ほど前から20歳台の若年層を中心に個人旅行が人気を博し、
パック旅行、個人手配、航空券のみ、どんな形であろうが関係ない、
個人の好みにあったスタイルで旅する層が急激に増えました。

当時の若者も今では社会の中核を担う年齢になりました。
かつては安さ優先で旅行商品を選んでいましたが、
いろいろな付加価値を求めるようになっています。
そうした個人旅行者のニーズを掴み、この分野では
右に出るもののない旅行会社に成長したのがエイチ・アイ・エスです。

そのエイチ・アイ・エスに対抗すべく、
JTBが新店舗のオープンで用意したのは激安商品でした。
1万円を切るロサンゼルスへの航空券や、
2万円台のハワイへのパック旅行などです。
それが自分の希望に添うものなら問題ない。
しかし、利用日や行き先に制限があるため、
買いたい旅行商品ではない場合が多いのも事実です。

安さ優先でそれほど行きたくないところに出かけてしまい、
貴重な有給休暇も使い切ってしまった。
そんなことになってしまっては何の意味もありません。
今や海外旅行は、「行くだけで価値がある」ものではない。
自分の好みに合った旅行をする時代です。
そのために旅行会社の機能を上手に使いこなせばいいのです。


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