第1980回
気になる中国株と「直感」
検査漬け、薬攻め・・・、
大抵が、ガンそのものではなく、
抗ガン劇薬や連続手術の後遺症でいのちを縮めてしまう――、
長い長いガン延命法とは、ただ病院の「数字」を妄信したり、
病院任せ、医師任せにするのではいけない、
患者の「直感」がとても大事だ――
さらに、世の中では、便利主義が常識、
拙速主義が当たり前とされいるから
こと、医療に限らず、経済予測や企業経営予測、
株式予測にしても、
いい加減な評論家の「あとづけの数字」などに
騙されてはいけない――、
いのちにしても、お金にしても、株にしても、
これからは「数字」より「直感」を、
もう少し大事に考えようという話の続きです。
ところで、
邱永漢さんは、僕が現役の編集長時代の30年も前から、
紙くずのようなアメリカのドル経済はいずれ駄目になると、
よく言っておられました。
中国市場についても、
経済学者や評論家がおかしな数字を繋ぎ合わせて
中国崩壊説を説きまわっているのを尻目に、
邱永漢さんはいち早く、本拠地を香港、
そして上海に移し、
新興市場に投資、事業参加しようと、
僕たちにも教えてくれていたわけです。
数字にも論理にも優れた邱さんですが、
まさに「直感」を大事にした人だと思っていました。
サブプライムとやらの日本の金融バブルを越える
世界的な金融危機で、
世界の株式市場が下落し、
中国や香港市場もその影響を受けました。
あいかわらず、株式評論家や経済記者が、
チャートや数字を掲げて、
ああだこうだといっていましたが、
僕は、そのときには、すでに、購入していた中国株は
3倍にも10倍にも上っていたわけですから、
中国経済を牽引する鉄鋼、資源や銀行など
主軸銘柄はそのままにして、
早めに、短期人気株やゴミのような株はいったん整理して、
1/3ほどは利益確定しておきました。
中長期で見ていけば、
サブプライムも、中国政府の規制も
いずれおさまって
「お金は勢いのよい元気な市場に集まる」――
この原則は変わらん!と直感したからです。
もちろん、みなさんも、
すでに中国株では数倍の利益をあげているわけですから、
証券会社のプランナーの数字になど惑わされることなく、
上手に処理して、
次のチャンスを狙っていることと思います。
健闘を祈ります。
それにしても「あとづけ数字」の跋扈する社会とは、
本当の実態や先行き予測を見え難くくするもので厄介ですね。
先日、ある出版社から、
たしか20万部くらい売れた
ベストセラー本の続編新刊が送られてきました。
この続編は昨年の秋に出版されているのに
どうして今頃送ってきたのかと思っていると、
どうも「二匹目のどじょう」はいなかったようで、
第一部の驚異的売れ行き数字にしたがって、
法外に刷りすぎたため、
予想外に在庫が残ってきたらしいのです。
15年、20年前から、出版の販売も、
編集内容より、
販売数字を優先する傾向が強くなっていましたが、
最近はとにかく営業数字が
本の企画の第一条件となってきたようで、
とにかく、どの社も
ベストセラー本の売れ行き「数字」にしたがって
編集会議が開かれているようです。
それは営利企業としては当然のことですが、
数字だけが一人歩きすると、内容が面白くなくても、
トンでもない数字を掲げて出版することになります。
その伝で、このベストセラー本の続編は「数字のマジック」で
どうやら苦戦を強いられ、
僕のような者にも「書評してPRしてくれ」と
あわてて送ってきたようなわけなのです。
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