元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1955回
新春対談「偽食から正食へ」(3)

昨年、2007年の世相を象徴する「漢字」一字が
「偽」と決まった。
第1位が「偽」、第2位が「食」というから、
まさに「偽食」の年だった――、
「美食」「飽食」そして「偽食」から、わがいのちを守るため、
ことし年頭に「偽食から正食へ!」とメッセージを送るべく、
僕が敬愛している食養生法の大先輩、岡田定三さんと
「むすび」という月刊誌で新春対談をした――、
岡田さんはマクロビオティック玄米菜食法の権威であり、
大阪を基点として、玄米菜食、自然食の普及に努め、
いわば西日本のマクロビオティックの総本山ともいうべき
「正食協会」の会長でおられるから、
「偽食から正食へ」の新春対談のお相手としては
これ以上の人はない――という話の続きです。

関根 マクロビオティック料理を食べる方は
だいぶ増えてきましたが、
本格的なお店はまだまだ少ないようです。
デパ地下にもマクロのお弁当などが
たくさん並ぶ時代になりましたが、
あれは本当のところから言えば
道が外れているものもあるんじゃないかなと思います。
ただ、変なものを食べるよりは、
もちろんダイエットにもなるだろうし、
脂っこいものを食べなくてもすむので、
いい傾向だとは思いますが。
なかなかマクロをマクロとして
今の日本の社会に乗せるというのは、
難しいところがありますね。
若い女性を中心に、
食の危険性といったことに気づいて、
自然食を実践する人が
だんだん増えてきたというのはいいことだとは思いますが。

岡田 少しでも意識の高いお母さん方は、
このままいったら日本はどうなるのかと考え始めています。
正食協会の料理教室でも、
「自分が勉強して、なんとか周りの人に広げたい」
と発言する人がものすごく増えてきて、
非常に感心しています。
一つの明るい兆しが少しずつ出てきたと思います。
助産婦や看護婦など、
医療や食にかかわる職業に就いている人の受講も
結構増えていますし。

関根 子どもを育てている人たちは、
3歳くらいまでは、米食を中心に、
なんとマクロに近いことをやらせよう
という人が多くなりましたね。
この前、幕内秀夫さんの食育セミナーに行ったら、
もう一人の講師が経皮毒の話をしており、
食だけでなくいろんな面で関心が広がっているのを感じて、
素晴らしいと思いました。環境問題を頭で理解して
何かをするというのではなくて、わが子がどうなるのかという
切実なところから、真剣に食の問題が見直されています。

岡田 やっぱり家庭の主婦、子育て中の主婦が、
食に対して意識が向きやすいので、そういう人たちが来てくれると
非常にありがたいし、可能性が感じられます。

関根 玄米食を続けていると、精神的にもキレたりすること
が少なくなるという傾向はあると思います。
抗うつ剤などの化学薬で治すのが無理だとすれば、
日本人に合った玄米菜食をもう一回見直した方が、
精神面でもこれからはかなりいいのではないでしょうか。
マクロビオティックを始めて、人間というものは
こんなに食べものに敏感なのかなとわかりましたね。
排便も変わってくるし、肉類をあまり受け付けなくなりました。
味噌汁にかつお節が入っていると、すぐにわかります。
子どもにお乳を与えているお母さんが、カレーライスを食べると、
すぐにお乳がカレーの味になるという話を聞いたことがあります。
人間と食というのはものすごく近いなあと感じるだけでも、
気をつけようという気持ちになります。

食生活が乱れすぎると体調が悪くなるというのは、
食を通じての警告なんだなと理解できるようになって、
自然な基準からすれば
全うな人間になってきたかなという気がします。
昔は人生50年とも言われ、
ガンは恐ろしい病気だとされてきましたが、
僕の周りを見回しても、今はみんなガンですよ。
長生きをして元気なようでも、
何かわけのわからない病気を抱えて、
薬でも効かないとなった場合、
やはり改善すべきものは何かというと、
食事なんでしょうね。
そうすると、素直にマクロをする人も
これから増えてくるようなことも考えられます。
(以下、明日)


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2008年1月3日(木)

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