第1953回
新春対談「偽食から正食へ」(1)
あまり目出度い話ではありませんが、
昨年、2007年の世相を象徴する「漢字」一字が
「偽」と決まりました。
不二屋から赤福、船場吉兆などの賞味期限表示違反、
地鶏などの原産地表示違反、さらに中国輸入加工食品の
違法農薬の使用違反などなど、2007年ほど
食べ物に関する表示の「偽装」が横行し、
摘発された時代はありませんでした。
この「今年の漢字」の選定は、
財団法人 日本漢字能力検定協が全国からの応募調査の結果、
公表しているものですが、
第1位が「偽」、第2位が「食」というわけで、
まさに「偽食」の年で終わったというわけです。
ご存知のように、食品の表示は、
消費者の保護のために食品衛生法・JAS法をはじめとした
様々な法令や基準で規制されているわけですが、
このコラムでも何度も書いていますが、
「食」こそ「いのち」を作る源です。
1昨年の2006年の漢字が「命」でしたから、
日本は長寿謳歌時代のように騒がれますが、
悲しいことに、実態は「いのち」が「偽食」に蝕まれている・・・、
長寿難病社会に突入していることとなります。
ずばり、美食、飽食がガンや糖尿病や高血圧症、
はたまたメタボリック症候群といった長寿慢性病に
多くの人を追いやったわけですが、
「美食」「飽食」に「偽食」が加わってしまったわけですから、
ますます、食の堕落、食物汚染から身を守らないと、
とてもとても「元気で長生き」や
「元気で若生き」など果たせません。
さらに、「美食」「飽食」「偽食」に蝕まれた高齢者は、
ガンや高血圧症のほかに、
ボケや認知症にかかる危険率を高めるはずですから、
往生際も苦しみぬいて過ごさなければならなくなる。
『ピンピンころり』どころか、
鼻からスパゲッティのように栄養管を入れられ、
ベッドで寝たきりで過ごしている高齢者が激増しています。
繰り返しますが、「食はいのちの源」ですから、
生産者は無論のこと、消費者である僕たちも、
これからは有機農法の農園や自然食品店とネットワークを作って、
「美食」「飽食」そして「偽食」から、わがいのちを守る、
これが2008年の人生設計のひとつの大きな目標だと思います。
さて、新年早々、目出度くない話では面白くないわけで、
僕は、ことし年頭に
「偽食から正食へ!」と元気なメッセージを送るべく、
マクロビオティック玄米菜食法の権威であり、
僕が敬愛している食養生法の大先輩、
岡田定三さんと、岡田さんが主宰する
「むすび」という月刊誌※1で新春対談をさせていただきました。
岡田さんは大阪を基点として、玄米菜食、自然食の普及に努め、
いわば西日本のマクロビオティックの総本山ともいうべき
「正食協会」の会長をされておられますから、
「偽食から正食へ」の新春対談のお相手としては
これ以上の人はおられないわけです。
明日から、この「偽食から正食へ」の
新春対談のさわりを紹介しますが、
「むすび」新年号は只今発売中ですので、
興味のある方はぜひ読んでみてください。
ちなみに、岡田さんは16歳のとき、
マクロビオティックの祖・桜沢如一氏に出会って以来、
師父と仰ぎ、
30歳からその啓蒙活動を続け、
昨年の「むすび」新年号の巻頭言では、
「正食」の基本を次のように書いておられます。
*
《むすびの原理を実生活に生かす》 岡田定三
(略)病名がどうであれ、
病気の根本原因はすべて食にあるということなのである。
分けすぎて真実から遠ざかり、
全てが分からなくなっているのが現代である。
この弊を除くのがマクロビオティックの基本原理である
東洋的な世界観である。(略)頭の理解ではなく
体験を通した分かり方だから揺るぎがないのである」と。
※1 http://www.macrobiotic.gr.jp/musubi/top/index.html
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