元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1928回
加島祥造VS帯津良一の対談本

僕が「月刊帯津」とニックネームをつけた如く、
われらがホリスティック医学の権威、
帯津良一先生の新刊本が、この年末年始にはたくさん出ます。
いまや「週刊帯津」と名前を変えたらぴったりだと思うほど
執筆活動にも大忙し。
最近も「死を思い、よりよく生きる 」 「いのちの力」という
2冊の本をこのコラムでも書評したわけですが、
それが終わったと思ったら、
こんどは『静けさに帰る』
という、現代語訳「老子」で話題の詩人・
加島祥造さんとの対談集がドサッと送られてきたのです。
病院での診察に、全国を巡る講演に、猛烈に忙しい帯津医師に、
こうして対談をしたり原稿を書いたりする
時間やパワーがどこにあるのかと感心してしまいますが、
きっといまの帯津さんの回りの、
いのちのエネルギーの場が高まっており、
日々、心のトキメキが躍動する・・・、
じつに充実した状態にあるからではないかと僕は思います。

ともあれ、「いのちの力」という新刊が、
宗教界のノーベル賞受賞者ともいうべき
比叡山の藤波源信大阿闍梨と「死生一体」の境地、つまり、
「生きて、生かされる」という、
いのちの秘伝を語り合うものでしたが、
今回の対談本のお相手も、「求めない」という詩集で
いまやベストセラーとなっている、伊那谷のタオイストの
加島祥造さんです。
帯津ファンならずとも興味津々の対談本ではないでしょうか?

まさに帯津さんの人間丸ごとを診るホリスティックな
「いのちの発想学」は,多くの患者から支持されるという医療の分野を超えて、
全人的人生哲学の世界に今大きく花開いているといえましょう。
おそらく、こうしたスピリチャルな動きに
気づいていないふりをしているのは、
わずか100年にも満たない
「機械式の西洋医学」に汲々と固執している
大病院の医師や医療関係者だけでしょう。

さて、この本を送ってくれたのは、
いま発売中の「いのちの手帖」第4号にも
「手かざしという癒し」というエッセイを寄稿してくれている
風雲舎という出版社の社長の山平松生さんですが、
たしか、2,3年前に、
この企画を進行している話を聞いていましたから、
楽しみに読ませてもらいました。

ちなみに、詩人でアメリカ文学者の加島祥造さんの、
すべてが「求めない」で始まる詩100篇を収録した
珠玉の詩集『求めない』という本が
いま驚異的ベストセラーになっていますが、
この対談本でも、加島さんの「求めない」発想と、
「いのちは虚空に帰る」とする帯津医師の持論が、
微妙に心の奥深く絡み合って、これからの人間はいかに生きるか?
という命題が、じつにゆったりと解き明かされていきます。

版元である山平松生さんの出版社のホームページでは、
【二人が語ったこと】」として
以下のように内容が紹介されています。
・西洋から東洋へそして統合へ
・死は、大いなる循環の一つの変化に過ぎない
・日常の社会生活のリズムから一歩出る
・リターニング__命は循環する
・修理工をやめて庭師になろう
・アンチエイジングよりもエイジング
・居場所__内なる生命エナジーをつかむ
・「比較」と「競争」から自由にな
・ホームカミング―大きな世界に帰る

みなさんも、
すでに二人の持論に共鳴している人は多いでしょうが、
この本のいいところは「静けさに帰る」という題名です。
とくに、最後の章の
「ホームカミング―大きな世界に帰る」が圧巻です。
きっと、読んだあなたの人生の「居場所」が見えてくるはずです。


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2007年12月7日(金)

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