元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1887回
高齢者の長期入院は無理!

いのちのエネルギーがみなぎる
83歳の元気なお医者さん、
中野次郎医師が、
いま発売中の「いのちの手帖」第4号で書いている
「患者漂流の時代に備えよう!
政治に無関心でも、いのちに無関心ではいけない」と題する
エッセイの話の続きです。
これからは、医療の「格差社会」の次に
医療の「弱肉強食社会」が来るという
ショッキングな警告をしています。

         *

富裕層は十分な治療を受けられ、
貧困層は医療すら満足に受けられずに死んでいく。
弱者の犠牲のうえに、強者が繁栄する・・・。
そんな時代が、この日本に間違いなくやってくるのです。
どうしたらいいのだろうか。

医師である私は必死で考え、
1冊の本にまとめました。
「患者漂流―もうあなたは病気になれない」
(祥伝社新書)という本です。
この少子高齢化と医療費財政の悪化の中で、
2007年4月から始った「診療報酬改定」は、
確実に「格差社会」をもたらし始めました。

たとえば、この医療制度では、
脳卒中などの脳血管疾患や
骨折、肺炎といったリハビリテーションが
必要な疾患を4つに分け、
最大で「百八十日」の日数制限を設けています。

もう高齢者の患者の長期入院はご法度というわけです。
医療に「日数制限」が設けられたのは初めてであり、
本格化する医療費抑制の前哨戦が始まっています。
さらに、小児科・産婦人科の極端な医師不足――、
病院の統廃合による病院不足――、
技量不足の医師たちによる医療過誤――
といった医療の悪循環が、全国各地に噴出しています。
医療ミスや院内感染などのトラブルも続発します。

こうした医療制度の崩壊の荒波が、
直接、弱い立場の患者と家族に牙を向いて襲ってくる。
いつ、あなたが、その弱い立場に追い込まれるか分かりません。

一時期、「老々介護」という言葉が流行しましたが、
時代の荒波はそれを飲み込み、
「介護疲れの殺人事件」「介護疲れからの無理心中」といった
耳を塞ぎたくなるような事件も多発しています。

「高齢者やリハビリ患者は長期入院ができない」
「地方の人は病院にかかれない」
「貧乏人は死になさい」・・・、
激増する慢性病の患者と介護する家族は、
医療から見放され、受け皿の病院も施設もないまま、
行き場を失って「漂流」するという、
まさに「患者漂流」の時代が到来しているのです。
政治に無関心でも、医療に関して無関心ではいけません。(略)」

            *

とくに高齢患者を抱えたご家族は必読です。
医療後進国ニッポンの医療崩壊シナリオを読み込んで、
患者が自分自身を守るための「ヒント」を提案しています。
まだ読んでいない人は、
いま発売中の「いのちの手帖」第4号を読んでみてください。

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2007年10月27日(土)

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