元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1886回
医療の弱肉強食社会

いのちのエネルギーがみなぎる
83歳の元気なお医者さん、
中野次郎さんと神戸の自然食材レストランで食事をして、
「薬は毒なり」という話も伺って、
すっかり元気付けられたという話の続きです。

その中野次郎医師には、
いま発売中の「いのちの手帖」第4号でも
「80歳から息子世代へのメッセージ」という特集で
寄稿していただいています。
もうすでに読んだ人もいるかと思いますが、
「患者漂流の時代に備えよう!
政治に無関心でも、いのちに無関心ではいけない」と題する
エッセイです。

            *

いま、世の中は明らかに「格差社会」になっています。
金持ち優遇政策により、
「勝ち組」はさらに豊かになる一方で、
「下層社会」なる言葉も生まれました。
さらには、大都市と地方の格差も著しい。
東京に億ションと呼ばれる豪華マンションが乱立し、
部屋の窓から大都会の夜景を見ながら
ワイングラスを傾ける人々がいるかと思えば、
大地震で家を失い、
生きる希望すら持てない高齢者が地方にはたくさんいます。

しかし、そうしたなかで、
実はいま、さらに大変な事態が起りそうになっていることを
ほとんどの人が気づいていません。
それは、日本の医療制度です。

これまで、国民皆保険制度の充実により、
多くの人々が、医療だけは、
貧富の差をそれほど意識しないで済んできました。
だが、これから数年のうちに、
保険証がまったく役に立たない時代がやってくるのです。

保険が効かなくなるのではありません。
病院がなくなるのです。
また、病院があったとしても、
受診すべき科がなくなる。
運よく入院できても、すぐに放り出されてしまうのです。

実際、北海道・夕張をはじめ、
全国各地の病院で子供を出産できなくなっており、
小児科を廃止する病院も激増しています。
まして、認知症の患者を受け入れてくれる
病院など数えるほどになってしまうでしょう。
高齢化がますます進行するこの国で、
そんな事態になったら、どうなるか、
考えるだけで恐ろしい時代の到来です。

病院がなくなった地域の人々は、
遠くの病院までバスに乗って通わなければならない。
入院していた患者は、次々と強制的に退院させられ、
家で介護をしなければならない
。その家でも、老いた夫や妻がどうやって介護ができるのか。
「自宅介護」という名目のもとにで、
病院という名の船から大海に放り出された多くの患者が、
大波の渦巻く海流のなかで、
もがき、おぼれ、死んでいく。
それはまた、介護をしていく家族まで巻き込んでいく・・・。
「金があれば、大丈夫だろう」。そうなのです。
これが「格差社会」の次に訪れる「弱肉強食社会」なのです。(略)
           *

目からウロコの話がたくさん詰まったエッセイですから、
まだ読んでいない人は、
83歳の元気な医師からのメッセージを
ぜひ読んでみてください。


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2007年10月26日(金)

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