元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1884回
83歳、神戸の“若生き”先生に会う

前回、神戸市立布引ハーブ園 森のホールで開かれた、
「修道女のハーブ療法」=ヒルデガルト医学の講演会で、
ペーター・ゲルマンさんという、
見るからに癒しのパワー溢れるドイツ人に会った話を書きましたが、
その日の夕方、もう一人、いのちのエネルギーがみなぎる、
83歳の元気なお医者さんと食事をしました。

「患者漂流―もうあなたは病気になれない」
という、現代医学の欠陥について警告する
威勢のよい新書を書いた著者の中野次郎さんです。
この本については、前にこのコラムで紹介したことがありますが、
お会いするのは初めてで、紹介してもらった
僕の友人で元集英社の役員の栗田晃一さんからは、
「会ったらびっくりしますよ。
とても、1925年生まれ、83歳とは思えないくらい、
肌がつやつやで、話も元気がある先生です」
と教えられていました。
お会いして見ると、本当にお顔にも老人特有のシミもなく、
肌が少年のようにきれいなんです。

もちろん、話も、その著書で書かれている通り、
現在の人間無視の医学について、とうとうと持論を述べ、
いかにもアメリカ仕込みの患者に
やさしい先生だなという感じでした。

すでに新書「患者漂流―もうあなたは病気になれない」
を読んだ人もいるでしょうが、
中野医師は1925年、兵庫県生まれ。
兵庫県立医専(現・神戸大学医学部)卒業。
50年に渡米。
オクラホマ大学教授を経て1986年ハワイにて循環器内科開業。
2000年より北摂総合病院理事――、
というという経歴の持ち主で、
「誤診列島=ニッポンの医師はなぜミスを犯すのか」
といった著書もたくさん出しております。
こんどの新書でも、いま実施されている医療改革、
いや医療費改悪が「医療・介護難民」化現象を起こしていると
これを「患者漂流」手厳しく指摘し、このままでは、
「貧乏人は病院にかかれない」
「地方の人は病院にかかれない」
「高齢者やリハビリ患者は長期入院ができない」
この少子高齢化、さらに医療費財政の悪化による
医療制度改革で長期の入院や治療が打ち切られる・・・
と警告しています。

こうした告発型の医師というと、
なんとなく人生が暗い人が多いのですが、
ニコニコとじつに温和に話してくれる83歳なのです。

さて、中野医師と食事をするといっても、
僕たち夫婦は肉類を食べませんので、
「先生、それでもいいですか?」というと
「僕もアメリカにいましたから肉は好きですが、
野菜を多く食べるのが健康長寿、
元気で若生きのヒケツなのです」というので、

新神戸のホテル「クラウンプラザ神戸」の近くにある
「豆の畑」
という丹波篠山の黒豆や豆腐料理を主体とした
自然食レストランでしばし会食団欒しました。

ここはバイキング形式で豆やイモ類の煮物、
揚げ物といった家庭料理はもちろん、
玄米も讃岐ウドンも、
そして焼肉や魚料理も選べます。
もし、神戸方面に行ったら
この店は食材も新鮮でお勧めです。満員でした。
中野医師も何度も何度もお代わりをしてとても健啖家なのです。
「ちょっと、胃に潰瘍が出たと最近言われたのですが、
食欲旺盛、排便も快調です」
と僕が相談しても、野暮な医者のように
すぐに「手術しろ」などとは言いません。
「食欲があって、 おいしく食べられるなら、
活力はつきますし、心配要りませんよ」
と励ましてくれるではありませんか?
カミサンもすっかり、83歳の若生き先生・
中野次郎医師のファンになってしまったのです。


1 http://www.mamenoya.com/


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2007年10月24日(水)

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