第1877回
中高年のガン治療はこれでいいのか?
とにかく、僕と同世代の中高年のガン患者が急増しています。
前立腺ガン、肺ガン、胃ガン、膀胱ガン、そして白血病・・・
あらゆる部位のガンが中高年を襲っています。
ガンというと、半世紀前までは、
なにやら魔物のような不治の遺伝性難病と
同一視されるような傾向がありました。
昔は、人生50年といわれる短命社会で、
40代、50代でもガンで亡くなったのですから、
そう思われても仕方がなかったわけで、
ガンに犯された臓器を切り取れば、
完治すると信じられて多くの患者が拡大手術の後遺症やダメージで
いのちを早めたことになります。
しかし、食料や住環境事情が改善されて、
いまのように人生80年、いや90年の長寿社会となって、
その途上の60代、70代にガン患者が急増していることに
いまいちど、医学界は注視すべきだと思っています。
というのは、「ガン=切り傷」、つまり手術が至上であるとする、
いまのガン治療ガイドラインにそっていたのでは
まったく的が外れた治療になってしまうからです。
ガン患者は壊れた機械ではありません。
ボルトの外れた「機械」ではなく、
老化を避けられない「いのち」であることが、
この長寿社会になって、ガン患者のサイドでも、
だんだんわかってきたからです。
すでに、何人かのホリスティックな発想を持った
医師たちが言っておられるように
ガンは「突発性の老化病」だと割り切って、
もう少し人間の心身を全体で診る
「やさしい治療」に変えるべきだと、
67歳の僕は「ガン切らずに9年延命」の体験からしても、
また、多くの60代、70代の同輩がガンに犯されている
現状を聞くにつけ、まさにそう思うのです。
みなさんも、この長寿社会を迎えて、
決して「ガン=故障」ではなく、
「ガン=老化」ということが解ってきたはずです。
このあたりの学問的研究は医師、医学者の領分ですから、
更なる分析が待たれますが、
ガン=突発性老化・・・この視点から、
医療体制が再構築されるべきだろうと、
中高年ガン患者の一人として、特に最近は実感しています。
いま、どの病院に行っても、
まるで自動車工場の機械操作のような
ガン治療《ガイドライン》がありまして、
たとえば、胃ガンであれば、どの医者も、どの病院も
患者を一杷ひとからげにして、
以下のような規準治療を鸚鵡返しのように唱えて勧めるわけです。
●病期分類別の治療法の適応ガイドライン――、
・内視鏡的粘膜切除(EMR)
・縮小手術 (2.0cm以下)
・定型手術 (2.1cm以上)
・拡大手術
・姑息手術
・化学療法
・放射線療法
・温熱化学療法
・レーザー治療
・緩和医療
老若男女を問わず、
また個人の複雑な症状を長く問診、触診するのではなく、
あくまで機械検査のデータに従って、
初期なら内視鏡手術、進行ガンなら切開手術、
再発転移なら化学療法から温熱化学療法まで、
まるでロボット修理のように割り当てて治療を施すわけです。
本当に、いのちや人間の寿命、
老化とガンが密接に関係ありと考えて
治療を施しているのか?
とくに中高年の患者から見たら、恐ろしくなるような、
惨いマニュアルが絶対視され、
いまどの病院でも問答無用で実行されていることでしょう。
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