第1777回
大動脈瘤破裂について(3)
直径80ミリ!
「いやあ、こんな大きな大動脈瘤ははじめて見ましたよ」。
主治医も仰天した、僕の友人の斉藤則教さんが
「いのちの手帖」第3号に寄稿してくれた
闘病エッセイの話の続きです。
なんの自覚症状のないまま、巨大な動脈瘤が出来ていて、
もし破裂したら、いのちがないといわれ、
大手術となったわけです。
以下のような表題で掲載されたものです。
●特集1・病院で聞けないホントの話!
直径80ミリに主治医も仰天!
巨大動脈瘤の破裂をまぬがれた!
*
そして、ゴールデンウィーク直前の四月末に入院し、
5月2日に手術を受けました。
大動脈弁閉鎖不全症の治療のために大動脈弁置換術と、
上行大動脈瘤のため大動脈の一部を人工血管に換える
8時間の手術でした。
素人目にはプラスチックのオモチャにしか見えない
人工弁(機械弁)と安手のホースのような人工血管という
異物がからだに埋め込まれたわけです。
入院していたのはわずか3週間ほどでしたが、
4人部屋の病室では、ある朝一人の患者が退院していくと、
午後には新しい患者がやってくるという具合で、
何人もの人たちと、出会いと別れのあいさつを交わしました。
患者同士で話をしていると、
どうしても自分の手術自慢や切り傷自慢をしたくなるようで、
大学で棒高飛びの選手だったという50代後半の男性患者が、
胸と腹の上を縦横に走る2本の大きな手術あとを見せながら、
「大きな十字架に見えないですか」と、
「手術とは切り傷が交差してこそ一人前(?)」
とでもいいたげに、
少し得意気に見せてくれたことをよく憶えています。
この男性患者だけでなく、
2度目、3度目の入院という人も結構いましたが、
私は二度と入院などしたくない、と痛切に思いました。
手術直後の名伏し難い不安に苛まれる
悪夢のような数時間を味わうのは、
一度で十分ですし、
患者と医者、患者と病院の間には
それこそ深くて暗い川が横たわっていることも、
身をもって体験したからです。
患者に歩み寄る、
そんな医師、医療に一歩でも近づいてほしいと切望します。
*
斎藤さんは、淡々と書いておられますが、
まさに九死に一生を得たことになります。
あとで、僕も知り合いの心臓外科の医師にこの話をしたところ、
大動脈瘤は5センチともなれば
いつ破裂しても不思議ではありません。
よく助かりましたね・・・というではないですか?
幸いにも術後もよく、斎藤さんは元気に仕事に復帰して、
また前のようにベストセラー書作りに忙しくしていますが、
さすがに長年、手放せなかったタバコもやめ、
酒も控えて、玄米菜食も時々試しながら、
体質改善にも努めています。
まさに、僕のガンと同じで、
暴飲過食や過度のストレスから逃れて、
ゆったりとスローヘルスなライフスタイルに変えたようです。
ちなみに斎藤さんは50歳前後で、大病を患ったわけですが、
50歳前後、60歳前後は、体質の変わり目で、
ガンや心臓疾患、脳血管疾患に襲われるケースが多いものです。
早期検診、早期発見はもとより、若い時と違いますから、
とくにタバコや酒は慎みましょう。
もちろん、肉食過食は改め、
出来れば日本人らしい玄米菜食に挑戦してみてください。
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