第1776回
大動脈瘤破裂について(2)
なんの自覚症状のないまま、巨大な動脈瘤が出来ていて、
もし破裂したら、いのちがないといわれた、
僕の友人の斉藤則教さんが
「いのちの手帖」第3号に寄稿してくれた
闘病エッセイの話の続きです。
以下のような表題で掲載されたものです。
●特集1・病院で聞けないホントの話!
直径80ミリに主治医も仰天!
巨大動脈瘤の破裂をまぬがれた!
*
聴診した30代前半と思える若い男性医師は
「心臓弁膜症かもしれません。
詳しい検査をしてみないと
はっきりしたことはわかりませんが」といいました。
弁膜症についての予備知識はまったくありませんでした。
ネットで検索すると、
心臓の血液の出入りを調節する弁が
うまく機能しなくなってしまう病気のようです。
薬で治すことはできず、
弁そのものを手術によって人工のものに取り替えないといけない。
ただし、緊急を要するものではないらしい。
なんとか手術をしないですますことはできないだろうか、
くらいに考えていました。
しかし、心エコー検査と心血管造影検査の結果は
まったく予想外のもので、
「弁膜異常のほか、大動脈がかなり肥大しています。
できるだけ早く手術をしたほうがいいですね。
手術できる病院を紹介します」というのです。
心臓に直結する大動脈は正常なら
直径30ミリ程度ですが、
80ミリくらいになっているといわれました。
大動脈瘤といい、
ほうっておくと大動脈が破裂し
命にかかわるといいます。
一般的には50ミリを超えると手術を勧めるケースが多く、
手術以外の選択肢はないとのことです。
「いやあ、こんなのはじめて見ましたよ」。
若い医師は興奮を隠そうともしませんでした。
そんなわけで、
事態は急転直下で暗転し、
すぐに手術する病院を決めなければならなくなりました。
若い医師は、T病院を紹介してくれるといいます。
私は根がいいかげんなのでどこでもよかったのですが、
妻は「よく調べたほうがいいし、
できれば自宅に近い病院にしたい」といいます。
ネットの病院ランキングの類や
友人のアドバイスを参考にし、
結局、地元のさいたま市にあるO病院に決めました。
大動脈瘤の手術件数が一番多く、
自宅からクルマで30分弱と近かったためです。
O病院の心臓血管外科の教授は、
カルテやソフトボール大に膨らんでいるという
大動脈の写真を見ながら、
「これは史上最大の動脈瘤かもしれない。
いつ破裂してもおかしくない」といいます。
私が未練たらしく、
「もし手術しないとどうなるでしょう」と聞くと、
「一年以内に間違いなく破裂しますよ」と脅されました。
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