元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1597回
これからのガン治療とは?

前回、昨年暮れ、東京・日本青年館の
「市民が知りたい、医者が知らせたい、がん治療」
という医学シンポジウム(主催NPO法人 統合医療塾)で、
西洋医療の立場の医師と、代替医療のサイドの医師が、
抗ガン剤の是非を中心に「どちらの療法がガンにいいのか?」
「どちらも取り入れる統合的な医療の可能性はないのか?」
この二点をめぐって激論をした――、という話を書きました。

西洋医学の立場から倉田宝保医師(大阪医科大学付属病院)と
田原信医師(国立がんセンター東病院)、
代替医療サイドから菅野光男医師(菅野クリニック院長)と
鶴見隆史医師(鶴見クリニック院長)がスピーチ。
統合医療塾塾長の川嶋朗医師と理事の水上治医師が、
ホリスティック医学の立場から行司役というか、
司会を担当されました。

しかし、西洋医学サイドは、代替医療の立証性のなさを問題視し、
代替医療の医師たちは、臓器修理式治療には
限界があるとして、頑として譲らず。
ガン患者がこれだけ、
さまざまな療法を併用している時代というのに、
改めて、医師の世界は複雑なのだなあと、
驚いてしまったわけです。

5年、10年前ならともかく、アメリカやヨーロッパですら、
ガン統合医療へ関心が高まっているというのに、
日本では、近代130年で培われてきた西洋医学至上政策と
医療保険制度にがんじがらめになっている。
いや、そうしたキレイごとの話ではなく、
病院や医師、薬業界の「お金」や
「利権」への執着とは根深いものだ!
と思いたくなる――、これが患者としての率直な感想でした。
もちろん、医業は商売ですから、
それを無視して「医は仁術」などと精神論だけを期待はしません。

しかし、この長寿難病時代を迎えたいま、
ガンのような「突発性老化」病には、
手術や化学劇薬を使う
臓器修理式の「対症療法」では追いつかない・・・、
もう古い!ということを、
もっと医師、病院、行政サイドが「情報公開」すべきだと
長年、患者をやってきた僕としては、痛感しているわけです。

また、臓器修理式医療の限界を指摘する代替医療の医師にしても、
独自の医術に固執するのではなく、
この長寿難病時代に対応する、
新しい「いのち学」の医療構想を、
いち早く確立すべきだと思います。
いま医師も、病院も、薬業界も行政も、
医業サイドのエゴイズムを守ることばかりに執着し、
この激増する突発性老化病=ガンに対する
「いのち全般」の戦略が皆無、
いや患者が無視されていることが問題です。

どうも、この国の根本的な医療改革は
20年、30年待っても無理なようで、
とてもこれでは、こちらの寿命がもちません。
というわけで、「本来の医療の姿に戻れ!」として、
僕たち、延命患者が集まって、ホリスティック医学に基づく、
スローヘルス患者学(創造的患者学)を持とうと
提案しているわけです。
それも、ただ、西洋医学と東洋医学(代替医療)の長所をとって、
足して2で割るというのではなく、
全く新しい「生老病死」に関わる医療です。
もちろん、この医療改革がなされない限り、
「ガンそのものではなく抗がん剤治療で死ぬ」
「患者の医療負担は激増する」
「国家の医療財政は破綻する」
さらに「旧態依然とした病院は流行らなくなる」・・・
こうした医療惨状が繰り返されることは間違いありません。

というわけで、新しいガン治療=ホリスティック医療に期待すべく、
僕たちの会報雑誌「いのちの手帖」では、
そうした医師と病院のホームページを紹介しつつ、
「ガン患者にとって、ほんとう治療とは何か?」について、
提案を続けているわけです。


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2007年1月10日(水)

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