元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1548回
「転ぶな、風邪をひくな、義理を欠け」

このままでいくと、日本人の寿命が白寿=99歳になる?
それではどうしたらよいか?
という話の続きです。

ガン、動脈硬化、高血圧による死因が6割を超えるわけですから、
ただ、病院に駆け込んで劇薬を貰うだけでなく、
不自然な食生活習慣を改善すること、
避けられないストレスを解消すること、
とくに、この二つを改善する心得がより大切になってきました。

前に紹介した富山医科薬科大学・名誉教授・堀越勇さんは、
自らのサイトで、こうも警告されています。
「健康で頭脳明晰で百まで生きるためには、
生活習慣病と痴呆を未然に防ぐ継続した努力が必要です。
人間は有史以来歩いたり走ったりして
生きてきた足の良く発達した動物です。
右肩上がりの急激な経済成長で、
与えられた飢えを知らない文化的生活、
石油が一滴も出ない国での自動車三昧、
これが単に足を弱くしただけではありません。
食生活の中の多くのことが、健康破壊につながっているのです。
白米を食べてビタミン剤を飲み、
雑穀混ぜ合わせの健康食品が
最高級銘柄米の数倍の値段で売られている現状(略)。
本当にこのままで良いのでしょうか。
ふと、こんな漢詩を思い出します。

『粗食を食らい、水をのみ、肘を曲げて枕とす。
楽しみその中に有り。不義にして富み、
かつ貴きは我において浮き雲の如し』


どうやらこれが長寿の極意かも知れません」
まさに、この通りです。

ちなみに、現代の西洋医学では、
長寿難病の最たるガンに「特効薬なし」というわけで、
その養生三訓は以下のようになっています。
「ガンはあきらめない」「ガンは頑張らない」
「ガンは体を冷やさない」・・・、
最近の医師によるガン治療本では、
こうしたタイトルが増えています。
いずれにしても、睡眠、安静、保温、保湿に心掛けて
バランスの良い消化の良い食事を摂ること大事だというわけですが、
このコピーもエスカレートする長寿難病社会では、
もはや陳腐といいますか、
ただの“守りの養生法”に成り下がってきたように思います。
もちろん、かつて新聞広告を賑わした
「キノコでガンが治った」などという患者を小バカにした
キャッチフレーズなど、この長寿時代には通用しません。

さて、先日、「いのちの手帖」の原稿依頼の件があって、
長年親しくしているノンフィクション作家の
猪瀬直樹さんと久しぶりに食事をしたのですが、
お互い、若いつもりでいましたが、
猪瀬さんも来年は60歳というのですね。
僕が腰のヘルニアで杖を使っているのを見て、
そのとき出た話が傑作でした。
「関根さん、長生きの三訓って知っている?
『転ぶな、風邪をひくな、義理を欠け』ですよ。
ハハハ、これは元首相の岸信介の言葉だよ」というのです。

岸さんといえば、いまの安倍総理のお爺さん。
なるほど、90歳まで長生きして、
政財界に隠然たるパワーを維持し続けた“昭和の妖怪”らしい、
人生の深奥をついた、ドキッとする長生き三訓と思いませんか?
そんな乱暴な生活信条はどうも感心しない・・・
などと格好をつけていられません。
冬の葬儀に無理して長時間参列して、寝込んでしまい、
ひとつの義理を果たすために、
逆に家族や会社に多くの義理を欠く・・・
こうした高齢者や病人のケースはたくさんあります。
別に長寿社会を嘆くのではなく、
これからは、ますます積極的な“攻めの養生法”を心して
後半生は、ゆったり、したたかに、そして自分らしく人生設計を
組み立てることが大切だと、僕は思っています。
古来から『転ばぬ先の杖』という諺がありますからね。


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2006年11月22日(水)

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