第1542回
読書の秋!「いのちの本」10選 (3)
いま、発売中の「いのちの手帖」第2号の
「本の愉しみ」欄に収載した、
秋の夜長にじっくり読むと楽しい、
いのちの本・10選の話の続きです。
*
●忘れられた越中・富山の売薬商の知恵
「心がシャキッとする『言葉』の置きぐすり」
(寺田スガキ・著 東邦出版 )1400円
数百年にわたって培われてきた
越中・富山の売薬商の知恵=「健康格言」はもちろん、
思わずうなずきたくなる
「人生」「人間」「対人関係」「仕事」「金銭」の生活の知恵=
「言葉の置き薬」を収録した貴重な本。
「日常の戒め10訓」の警句が圧巻。
1. 高いつもりで低いのが教養
2. 低いつもりで高いのが気位
3. 深いつもりで浅いのが知識
4. 浅いつもりで深いのが欲の皮
5. 厚いつもりで薄いのが人情
6. 薄いつもりで厚いのが面の皮・・・、
日ごろの欧米かぶれや合理思考が反省させられ、
読めば心が和んでくる不思議な本。
●知恵もお金も、使わないかぎり増えない
「生き方の原則」
(邱 永漢・著 光文社 知恵の森文庫)520円
「お金の神様」といわれる著者の名著。
人間の幸せとは、世間にどう認められるかではなく、
もっと主観的なもので
「自分がそう思っているかどうか」
にかかってくるという「心の満足」の原則を開陳している。
1.作る原則―仕事も人脈も、作れる人に付けば作れる
2.使う原則―知恵もお金も、使わないかぎり増えない
3.変える原則―行動も考えも、まず動くことで変わる
4.守る原則―家庭も健康も、無理しないのが最大の守り
5.捨てる原則―メンツも欲も、覚悟をすれば捨てられる。
この不確定な時代にこそ再読したい一冊。
●退院後から始まるガンの闘い
「がんを治す 在宅療法大事典」
(帯津良一・編著 二見書房)2625円
帯津医師の名著
「ガンを治す大事典」の姉妹編。
術後、退院しても、
それは治療が終了しただけで完治したのではない。
ガンは5年再発しなければ完治したと見なされるが、
その5年という退院後の「中間期」こそが、実に重要な時期だ。
【再発克服のカギは「退院後」にある】
と警告するのが本書の主旨。
気功、食事、針灸からホメオパシーまで
各種の代替療法・養生法や、
再発したときの最良のホリスティックな対処法を
余すところなく網羅した、
まさに家庭に一冊の「ガン在宅療法」必携版だ。
●長期療養中や秋の夜長にじっくり読む本はないか?
「生命のメタフィジックス」
(山口實・著 TBSブリタニカ)3200円
帯津良一博士らは「心のトキメキ、感動の小爆発」という
精神エネルギーが病気も治すと説くが、
そのホリスティックの原点はベルグソン哲学やユング心理学にある。
しかし一般読者が改めて「創造的進化」や
「ユング全集」の名著を読むのは難解。
というわけで、体だけでなく心やいのちも考える
ホリスティックな発想の基本法則を知りたい人にお勧めの一冊が
550頁のこの大著。
筆者は形而上学(metaphysics)の権威だが、
大学生向けに30億年の生命進化の系譜を説き、
究極の人類進化像として
“メタアントロポス”(超自然人)を示唆している。
|