第1489回
パワースポットと「神聖な地形」
インドネシアのバリ島から飛行機で1時間、
ジャワ島にあるボロブドールという、
仏教遺跡の「パワースポット」に出かけた話の続きです。
ボロブドール石造寺院は、五つの方形の基壇の上に
三つの円形の基壇が重なっている階段ピラミッドです。
東西南北、四方向の中央には階段があって、
最上部の円形の基壇まで昇れるようになっています。
最頂上の中心には
釈迦※1の遺骨を納めという大きな仏塔があります。
現地ガイドのAさんの解説によれば、
下部の方形の基壇が、私たちの住む煩悩に満ちた世界で、
上部の円形の部分が「仏様のいる極楽浄土」だというわけです。
「ですから、下から見ると、煩悩多き私たちには、
円形の基壇=仏様の世界は
見えないように設計されている」といいます。
下部の方形基壇の回廊には、釈迦誕生の物語など、
1400面にも及ぶレリーフや仏像が刻まれ、
さらに三段の円形基壇に上ると、
72基の釣鐘状の仏塔(ストゥーパ)※2が鎮座しています。
内部に仏像が一体ずつ納められ、
Aさんの解説によれば、
「男性は仏様の手の指、
女性は足の裏に触って願い事をすればかなえられます」というので、
ふたりして、隙間から手を突っ込んで、
健康長寿を祈っておきました。
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古来より、パワースポットと呼ばれるだけあって、
やはり、さわやかなエネルギーがあるようです。
人々は、この世のどこかにあらゆる苦難から解放され、
自由に暮らせる理想郷があることを夢想して、
こうした生命場エネルギーに満ちた地形に、
「曼荼羅世界」を構築したのでしょう。
ところで、いのちのパワースポットといえば、
「聖なる土地の力」(マーティン・グレイ著)という
「ナショナルジオグラフィック」誌のカメラマンが書いた、
興味深い本が出ています。
25年間に、世界100ヶ国1000箇所の聖域(サンクチュアリ)を訪れ、
1100箇所を写真つきで紹介した面白い本です。
中で「神聖な山」「神聖な水域」といったパワースポットには、
古来から「神聖な地形」があると分析しています。
オーストラリアのアボリジニが神聖視したエアーズロック、
日本の熊野曼荼羅ゾーン、中国の風水寺院群、
ギリシャローマの十二星座宮殿群、
イギリスやフランスの五角星ペンタグラム・レイラインゾーン、
ナスカ地上絵のような中南米の巨大標識地帯・・・などをあげ、
それぞれの聖地には、
「場所ごとに、体を癒やす、心に啓発の光を与える、
創造力を高める、霊能力を育てる、
魂に人生に本当の目的を悟らせる、といった
いろいろな力が宿っているのです」と書き記しています。
海外旅行というと、大抵の人が、
こうしたエネルギーに満ちた場所に、知らず知らずのうちに
出かけてしまうわけで、
信じるかどうかは別にしても、
誰しもが、
何らかのリフレッシュ効果を得て帰ってくることになります。
ボロブドール石造寺院にしても、
まさに、地磁気エネルギーに満ちた大自然の「神聖な地形」の中に、
古代人の英知を集めた
「立体曼荼羅」という造形を作り上げたわけで、
まさに「神聖な地形」の粋を行くパワースポットでしたから、
バリ島&ジャワ島の1週間が、
ただの「孫ボケ」の息抜き旅行で終わらない、
いのちのリフレッシュの旅となったようでした。
なにせ、真夏の赤道直下といっても、
吐き気のするような湿気に悩まされる東京の気候と違って、
風もさわやか、ゆったりと過ごしやすいのは快適です。
※1 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%88%E8%BF%A6
※2 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9
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