元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1374回
新「バランス処世学」のすすめ

前回、免疫学の権威、安保徹教授の
「免疫力を高めて、生き方を変えれば病気は治る」
「おかしな化学薬や無理な手術は止めた方が良い」
「日ごろの生活習慣を変えなさい」
・・・という話を紹介しました。

とくにガンやアトピー性疾患、リウマチ
のような原因不明とされている慢性病に悩む患者さんなら、
安保教授の免疫バランス理論が、じつに分かりやすく、
いのちの仕組み、病気(とくに慢性疾患)の
成り立ちを解明しているものと感じたと思います。
とくにガンのような場合は、、ただ薬や検査に頼るのではなく、
食事、運動、笑い・・・で
ストレスを取り除くことが近道だというわけです。

こうした日ごろのストレス改善法は、
東洋の養生法に通じるところがあり、
治療だけでなく「養生」が病気を防ぐ、
また病気回復のさらなる解決法だと、
多くの人がなんとなく、感じているわけですが、
これを学術的に解明し、
「免疫力を高めるには自律神経のバランスを図りなさい」
と数々の論文を発表。
さらに、ただ理屈でおさまるだけでなく、
「自律神経免疫療法」という指揉みによる実践法も
推奨したところが、多くの慢性病患者の人、
とくに不定愁訴に悩む女性から根強く支持されている所以でしょう。
安保先生のストレスバランスで
「生き方を変えよう」という理論は、
慢性病改善の医学理論だけではなく、
とくに日本人に分かりやすいバランス処世論にも通じる・・・
と僕は感じています。

とくに最近の日本では、政治や経済、会社経営の世界みならず、
医療、教育、人間関係、処世術・・・、なんでもかんでも、
すべてアメリカ式の善悪、物心、勝敗といった二元論で割り切る
機械論、合理論が蔓延しておりますが、、
とうとう、その発想法の限界も、各界から指摘されています。
というわけで、自律神経免疫理論のみならず、
森羅万象の微妙なバランスを図る東洋的な一元論、
さらに全体のつながりから物事を考える
全体論(ホーリズム)の考え方が、見直されてきたと、
僕は考えているわけです。

「東洋的一元論を見直せ」などといいますと、
宗教臭い発想、また神秘的な発想を想像する人もいるでしょうが、
このインターネットなどが普及した高度情報社会では、
そうした大昔の単純な“割り切り方”は通用しません。
より人間の英知で、分かるところまで学術的に解明されることが、
専門家だけでなく、一般の人たちからも希求されているわけです。

まえに、僕たちの提案する
スローヘルス患者学(ゆったり創造的延命学)とは、
帯津良一博士が提唱する
ホリスティックな学問を基本としている・・・、
フランスの哲学者・アンリ・ベルグソンの理論=
「生命の躍動」に通じる・・・、
つまり日々の精神的エネルギーが
いのちも進化させる、自然治癒力を増す・・・と書いてきました。
これも、東洋の一元論に通じるところがあるわけです。
しかし、こうした考え方も、
いまや物理学の「エントロピーの法則」、
つまり「エネルギー(熱量)は劣化する」という、
熱力学の第二法則によっても解明されていることなのですね。
人生は加減乗除で、単純に割り切れるものではない、
「攻めもあれば守りもある」・・・といったバランス学です。

ですから、免疫バランス、ホリスティック医学、そして
スローヘルス患者学といったものを、
ただ伝統療法や神秘思想の系列に属するなどと無視するのではなく、
これまでの近代西洋思想の限界を突き破る、
新しい「バランス学、より実践的な処世学」
だと考えたらよいと思います。

さて、「新しいバランス処世学」とは何か? 
先日、そうしたことを考えていたら、
「釈迦の教えは『感謝』だった」(風雲舎)
という新刊が送られてきました。


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2006年6月1日(木)

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