第1357回
続・ガン新聞報道はこれでいいのか?
05月04日付、朝日新聞の第一面のトップに
“「がんに効く?」厚労省研究班が手引”という
代替医療の是非を問う大きな記事が掲載された――、
このデータは、厚生労働省研究班
(主任研究者=住吉義光・四国がんセンター病棟部長)が、
一般向けの手引をまとめた、、
とても評価の高い客観的調査だ――
しかし、この「官製データ」を第一面トップで
“丸写し抜粋”しただけの新聞記事に疑問あり――、
前回に引き続き「ガン新聞報道はこれでいいのか?」
という話の続きです。
いまや、毎年、32万人の人がガンでなくなり、
300万人以上の人が再発を心配しながら過ごしている――、
まさにガンは大きな「国民的いのちの課題」です。
それを、ただ官製のデータを引用するだけ、
ただ「代替医療はいいか、悪いか」と
クイズ式に高見の見物を決め込むだけ・・・、
繰り返しますが、こうした記事作りは、
患者をさらに混乱させる素となりかねません。
もちろん、新聞の記事スペースの限界もあるでしょう。
また、役所、病院、医師サイドに立った方が
記事が作りやすいという思惑もあるでしょう。
でも、ことガンに関する限り、
あくまで主役は「患者と家族」であることを忘れてはなりません。
より真摯に、自らの手と足と頭を使った
主張と提案のガン記事を作ってほしいものだと、
僕は願ってやみません。
ガン治療に関して問題点は山積しています。
たとえば、通常医療として認可されている抗ガン剤にしても、
20%程度の証明性で認められているのが現実です。
一発で完治できる薬や食品などありません。
さらに、一口に代替療法といっても、
問題になった「アガリクス」だけが検証すべき食品ではありません。
また健康食品以外にも鍼灸、
マッサージ、漢方、食事、気功といった伝統療法、、
アロマテラピー、心理療法などのなど精神療法など、
さまざまなものを大学病院などの手術、抗ガン剤、放射線といった
通常医療と併行して利用している患者が多数います。
ちなみに、この新聞記事には一行も触れられていませんでしたが、
厚生労働省研究班の報告書には
米国の内科学の専門誌「内科学アナルス」に掲載された、
「避けたほうがよい補完代替医療」と
「がんの進行と患者の生存に関する効果を目的とした補完代替医療」
「がんに伴う症状や
通常の治療法を緩和させる補完代替医療」という、
治療法別一覧表も追加資料として紹介されています。
科学的根拠の強さによって「推奨」「容認、場合により推奨」
「容認」「反対」の4段階・判定基準で
代替療法を評価するものです。
たとえば、以下のような、分かりやすいデータです。
患者にも参考になるはずです。
・乳がんに対する低脂肪食=
容認して経過観察(低栄養の患者では避ける)
・マクロビオティック食=
容認して経過観察(植物性エストロゲンが含まれている
食事の場合、乳がん患者、子宮体ガン患者では避ける)
・化学療法による悪心・嘔吐に対する鍼灸=
容認(場合により推奨して経過観察、血小板が減少している患者、
抗凝固薬を飲んでいる患者は避ける)・・・。
とくに、ガン治療の認証、さらに代替療法に関する検証では、
欧米より二歩も三歩も遅れた「医療後進国・日本」ですから、
医療関係者の地道な努力のみならず、
マスコミの使命は大きいのです。
僕たち患者にしても、スローヘルス研究会などと称して、
患者本位の「いのちの掴み方」を勉強しているわけですから、
国民的使命が役割である新聞こそ、
独自の記事を作るべき、緊急のときなのです。
詳しく知りたい人は以下※1で。
※1 http://ky.ws5.arena.ne.jp/NSCC_HP/top_page/
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