元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1169回
「生き方上手」は「逝き方上手」

この7年間にわたる僕のガン闘病とは、
大学病院の手術や
抗ガン剤や放射線だけに頼らないで、
呼吸法や食事療法も取り入れよう、
漢方薬や免疫療法の知恵も
いただこうというものでした。

この“いいところ取りの養生法”を
スローヘルス(しなやかな)処世養生術と
命名したのですが、
いまや自然治癒力が心身に満ち満ちてきて、
いわゆる5年延命率ならぬ、
元気で快い“5年健存率”を掴み取る、
そうした僥倖も得ることができたわけです。

また、知り合いに鮫島信子さんという
エッセイストがおられますが、
「毎日が、いきいき すこやか」(小学館)という本の中で、
「最期の迎え方 心豊かな未来のために」と題して、
85歳のご主人が食道ガンで
亡くなられたときの様子を綴っています。

手術を避けて、新緑の奥入瀬へ、箱根の山荘へ、
紅葉のときは京都へ家族旅行をしたり、
1年半をゆったりと過ごしたそうです。
最期の二週間は、
病院でリンゲルを打ったりせず、
水だけで過ごしたそうですが、
苦しむこともなく、
自然に任せた養生法を心がけたために
心の平安も得たのでしょう。
「長い人生をここまで幸せに
生かせてもらったことに感謝しよう」
「僕は仙人になります」
と穏やかに昇天されたそうです。

雄大なる「命のバトンタッチ」を感じさせる、
そして、決してガンに負けてはいない、
スローヘルスな死生観が
にじみ出ているような気がしてなりません。

そればかりではありません。
僕の主治医の帯津良一博士は、
著書「ガンに勝った人たちの死生観」
の中でこう書いています。

「メメント・モリ・・・
 ラテン語で『死を想え』という意味ですが、
 これこそ、患者さんにとっても、
 医師にとっても、
 そして健康な人が生きるうえでも、
 もっともたいせつなことだと思います。
 (略)死への恐怖が消え、
 死をしっかり視野に入れたとき、
 その患者さんの心の状態が、
 『生命場』の自然治癒力を賦活して、
 病状を回復に向かわせるのです」

ま、この境地に達するには、
僕などは、
まだまだ人生の磨きが足りませんが、
ともあれ、スローヘルスとは、
いわば「生き方上手」にも「逝き方上手」にも通じる、
まさに、生死を越える、
ゆったりとした人生観の、
キーワードなのだと、思っています。

みなさん、ゆったりと、
お元気に、お過ごしください。


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2005年11月8日(火)

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